製造業、円安・物価高で「調達への懸念」が8割超 「AI」の影響は……?(1/2 ページ)
製造業向けのAIサービスなどを提供するキャディは、製造業で働く管理職645名を対象に「製造業2026年展望調査」を実施。結果から、社会情勢の変化は製造業にどのような影響を与えているのかが示された。
社会情勢の変化の中で、「物流コストの上昇」(39.7%)、「経済の停滞・落ち込み」(37.7%)、「為替変動円安」(34.0%)、「関税問題」(30.5%)が製造業に大きな影響を与えている──そんな結果が、製造業向けのAIサービスなどを提供するキャディ(東京都台東区)の調査で分かった。
企業の競争力強化における課題は? 商材ごとに差
この4つは製造業を「素材・素材加工」「機械・設備」「電子・精密・情報機器」「自動車」「輸送機械器具」に分類した場合、いずれの業界でも上位に挙がった。一方で、業界ごとに4つの順位は異なっており、自動車・輸送機械器具では「関税問題」が最多、素材・素材加工と機械・設備では「物流コストの上昇」が最多となった。
「円安」「物価上昇」が与える影響については、「調達コスト増加」(85.4%)と「販売価格への転嫁が難しく、利益が圧迫されそうだ」(72.4%)という課題感を抱く人が特に多かった。また、「為替の影響により収益にはプラスに働きそうだ」というプラスの影響を感じている人は30.7%にとどまり、業界全体としてプラスよりもマイナス側面が大きいことが分かった。
2026年以降の「調達」「原材料」に関するリスクは、全体の68.5%が「現在よりも悪化する」ととらえており、「改善する」は5.9%にとどまった。
競争力強化のために「変わる必要がある」と感じる課題点は、「業務の属人化」(43.9%)が全体で最多に。素材・素材加工、機械・設備、電子・精密・情報機器の3業種でも同じく「業務の属人化」が最多となった。一方で、自動車・輸送機械器具の2業種では「意思決定プロセス」が最多となり、スピーディーな業務遂行に課題を感じていることが示唆される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日本の「モノづくり」危うし 金型産業の倒産・廃業が最多ペース 淘汰が進む背景は?
日本の「モノづくり」を支える金型産業が、苦境に立たされている。1〜9月に発生した金型メーカーの倒産は36件、休廃業・解散は90件となり、計126件が市場から退出。製造業の空洞化が加速したリーマン・ショック以来の淘汰が進んでいる。
【2026年に義務化】サステナビリティ開示 製造・自動車・物流業界が取るべき対応と課題
2026年、日本企業のサステナビリティ対応が大きな転機を迎える。目前に迫る制度変化を“経営の分岐点”と捉え、企業にいま求められる体制構築と情報設計の在り方を考察する。
なぜ進まない? 製造業のAI導入 4割超えが「予定なし」と回答
製造業の企業において「AIの導入予定なし」と回答した割合が4割を超えた。導入を妨げる課題は何なのだろうか?






