厳しい競争と人口減に苦しんだ「ひらパー」が、なぜ再び100万人台を達成できたのか(4/4 ページ)
USJや人口減の影響で、来場者が落ち込んだ「ひらパー」。しかし近年は100万人台を維持している。自由度の高い企画力や地域に根ざした発信、定番イベントの育成など、独自戦略で支持を集め続ける理由を探った。
ボトムアップで生まれる新企画
若手社員からの企画提案も積極的に採用している。企画担当部署以外の社員が手を挙げるケースも多く、予算管理や外部協力会社との調整も任せるなど、企画を通じた人材育成にも力を入れている。推し活イベントも公募で選ばれた4人のプロジェクトチームが主導し、TikTokアカウントの運営も任せている。
「アイデアをどんどん提案する風土がある。予算と収支を提示できて、実現可能と判断できれば実施する」と田中さんは説明する。予算が年度始めに決まるため、企画の通過率は1割程度にとどまるが、日頃から自然に提案が出てくるという。
企画では、主要顧客であるファミリー層を置き去りにしないことを重視する。若者向けに特化した企画でも、特定の人に強い不快感を与えるような内容は避け、実施する場合は閉園後など限られた時間帯とするなど配慮を怠らない。「面白かったらなんでもいい、というわけではない」(田中さん)
今後に向けては、1996年の全面リニューアルから30年近くが経過し、設備の更新時期を迎えつつあることが課題だ。大型アトラクションを次々に投入するのは現実的ではないが、2025年は「タッチDEバトル」、没入型アクアリウム「プラネットアクア・ポート」などを新たに設置。段階的な刷新を進めている。
また、集客面も現状は昨年対比で増加しているが、コロナ前の水準(2019年の137万人)には戻っていない。今年は大阪・関西万博の影響もあり、国内集客は苦戦したという。一方、インバウンド客は増加傾向にあり、5年後に全体の1割を目標としている。
田中さんは「遊園地の新しい楽しみ方、活用法をこれからも提供していきたい。どこかに出かけようとするときに、ひらパーを思い出してもらえるように印象付けたい」と展望を語る。テーマに縛られない柔軟な企画を積み重ねながら、ひらかたパークは話題性と収益の両面に目配りした運営を続けているようだ。
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