なぜフジテレビは失敗し、アイリスオーヤマは成功したのか 危機対応で見えた「会社の本性」:【2025年メガヒット記事】(2/7 ページ)
吉沢さんのCM継続を発表したアイリスオーヤマに、SNSで称賛の声が上がっている。危機管理対応としては契約解除が「正解」とされることが多いが、なぜ同社はこのような“神対応”ができたのか。その理由は……。
SNSで絶賛された前代未聞の「応援メッセージ」
同社のCMに多数出演している俳優の吉沢亮さんが2024年の暮れ、泥酔してマンションの隣室に不法侵入していたことが判明した。このことを受けて、「CM停止」をしなかったどころか、こんな前代未聞の「応援メッセージ」まで出したのである。
吉沢亮さんは、アイリスオーヤマのブランドアンバサダーの一人として、卓越した表現力と幅広い支持層を持つ俳優です。これまで多くのお客さまに当社の魅力を伝えていただきました。その存在感は、ブランド価値の向上にも大きく貢献していただいております。
今回の契約継続は、吉沢亮さんの今後の挑戦を応援し、共に頑張っていきたいという当社の決意を示すものです。(アイリスオーヤマ公式Webサイト 2025年1月14日)
SNSではこのメッセージを絶賛する人が多く、中には「家電を全てアイリスオーヤマにします!」なんて感激しているファンまでいるという。
さて、そんなアイリスオーヤマの“神対応”を聞くと、企業で危機管理を担当している人などは頭がこんがらがってしまったことだろう。
一般的に、企業が広告に起用しているタレントが警察沙汰になるような不祥事を起こした場合、その広告を迅速に停止・差し替えなど行い、タレントとも契約解除をするのが危機管理のセオリーとされる。専門家が記載している「マニュアル本」にもそのような対応が推奨されているので、お読みになったことがある方もいらっしゃるだろう。
実際、吉沢さんに対してもそのような厳しい考えに基づく対応が多い。
「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」の広告に吉沢さんを起用していたアサヒビールは発覚当日にCMを停止、翌日には契約解除という厳しい対応をした。「まあそれはアルコール飲料会社だからね」という人もいるが、そうではない企業も同様だ。洗口液「ピュオーラ」のCMに起用していた花王も不祥事報道を受けて、公式Webサイトから吉沢さんの動画を削除した。CMではないが、2月14日に公開されるはずだった主演映画も公開延期されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
女性にドン引きされる「パーカーおじさん会社員」が増えた、ちょっと意外な背景
「職場のパーカーおじさん」はセーフかアウトか――。そんな議論が話題になっているが、なぜパーカーを着ている会社員が増えたのだろうか。その理由は……。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
“ヤンキー特化型”ドンキが大阪に上陸 ボンタン完売の店内はドキドキか、ギラギラか
大阪府貝塚市に「ギラギラドンキ」が登場して、半年がたった。その名の通り、店内はギラギラしているわけだが、新たなコンセプトの店を運営して、どういったことが分かってきたのか。ターゲットのお客は……。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
