オリエンタルランド、過去最高売上でも止まらぬ株価下落 「夢の国」をむしばむのは“金利”?(3/5 ページ)
オリエンタルランドは過去最高業績を達成しながら、市場の反応は冷淡そのものだ。なぜなのか。
金利ある世界がもたらす時価総額の圧縮
一般的な指標で見ると、オリエンタルランドはいまだ割高だ。
平均的な上場企業のPER(株価収益率)は15〜20倍程度にとどまる。オリエンタルランドは株価が半値に落ちたといえども、足元のPERはいまだ41倍だ。単純計算では、普通の上場企業の倍ほど割高とみることもできる。
長年、同社はPERが60倍から80倍という、市場平均を遥かに上回る評価を享受してきた。簡単にいうと、オリエンタルランドの時価総額は、1年に会社が稼ぐ利益の60倍、つまり60年分の利益を先取りした値付けになっていた。
ここで、昨今の金利上昇がネガティブな影響をもたらす。現在、日本の10年国債利回りは一時年1.8%台に乗せるなど、金利を巡る環境は一変した。
日本国債は、学術的には「無リスク資産」として扱われる。つまり、リスクを取って利回りが1.8%を下回る金融商品を買うくらいなら、無リスクの国債を買う方が合理的な判断となる。
ここでPER60倍の株の利回りについて考えてみよう。単純計算はできないものの、今の株価が直近の利益水準の60年分を先取りしているとするならば、オリエンタルランド株は60年で100%のリターンが期待できる商品と解釈できる。
この場合、単年の年利は1.6%となる。つまり、当時のオリエンタルランド株式は日本国債よりもリターンが低い。そのうえ、元本保証もなくリスクの高い資産であったのだ。
これまでは、東京ディズニーリゾートという圧倒的な知名度と国民からの信頼に加え、金利のない世界において、巨額投資を行い、将来の事業価値が極大化されてきた。しかし、金利のある世界になった今、その魅力は相対的にかげりが見えてきたことになる。
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