“イベント時だけ”大混雑する駅、どう対応している? 千駄ヶ谷・水道橋・九段下などを調査:鉄道の「雑学」(2/4 ページ)
平常時は閑散としているが、イベントになると大混雑する駅が複数ある。それらの駅はどのように対応しているのか?足を運んでみると、意外な特徴が見えてきた。
やや心配な、水道橋駅
JR中央・総武緩行線の水道橋駅は、東京ドームの最寄り駅だ。プロ野球の試合はもちろん、大規模コンサートも頻繁に開催される。海外アーティストの来日公演や国内アーティストの大規模ライブでは、東京ドームが選ばれることが多い。
水道橋駅の西口で降りてみた。階段にはエスカレーターが設置されておらず、臨時の簡易自動改札機を置けるスペースはあるものの、自動改札機の数は決して多くない。周辺には飲食店やオフィスビルが立ち並び、駅を出てすぐの場所には、段差を無理やりスロープ化したような箇所もある。そこから東京ドーム方面へ向かうと、急勾配のスロープやその先の階段のせいで、真っすぐ進むことができない。動線が分かりづらく、人が滞留しやすい印象を受けた。
ここが東京ドームの敷地であり、JR東日本が自由に変更できない点も、人の滞留を解消しづらい要因の一つだ。また、水道橋駅自体が古く、周囲に十分なスペースがないため、大規模な設備改良が難しいという現実もある。
それでも致命的な混雑を避けられているのは、このエリアが鉄道ネットワークに恵まれているからだ。
水道橋駅には、JRのほかにも都営地下鉄三田線が乗り入れ、さらに東京ドームの最寄り駅としては、東京メトロ丸ノ内線・南北線の後楽園駅、都営大江戸線・三田線の春日駅など、多数の選択肢がある。複数路線・複数駅が受け皿となることで、イベント時の大量の観客を分散できている。
こうした鉄道アクセスが充実していることが、東京ドームが大規模イベント会場として機能し続けている大きな理由といえる。
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