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「中国資本が火葬料を釣り上げている」は本当か 東京博善の社長に聞いた、“風評被害”の実態スピン経済の歩き方(3/7 ページ)

火葬料金の値上げが話題になっている東京博善だが、なぜこのタイミングで「夕刻葬」に踏み切ったのか。社長に聞いてみると……。

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「夕刻葬」を提案する意外な理由

 「2つめは火葬キャパシティーの拡大です。高齢化が進む日本は深刻な“多死社会”に突入していて、特に冬場はお亡くなりになる方が多い。われわれの火葬場も通常は1日7回転ですが、12月には10〜11回転まで増えています。火葬は何があっても止められないインフラなので、夜の時間帯を活用することによって、火葬能力の維持・向上に努めていきたい」(野口社長)

 「そりゃ確かに夜の火葬も必要になってくるか」と納得するような話が続く中で、野口社長が最後に挙げた理由はちょっと意外なものだった。

 「3つめの理由は、ご親族やご友人が故人をしのぶ機会をもっと増やしたいというものです。1日葬は昼間に行われるため、仕事などの都合で参列できない方も出てきます。夕刻葬ならば仕事が終わってから参列できますし、精進落としで食事をしながら、喪主やご家族、お仲間と故人の思い出話に花を咲かせることもできるかもしれません」(野口社長)

 食事の機会が増えることは、葬儀社側にとっても喜ばしいことだ。通夜や葬儀における「食事提供」は葬儀社側にとって大事な収益だからだ。経産省のデータによれば、葬儀社の多くは4人以下の“零細小規模事業者”なので「1日葬」という葬儀の簡略化の流れは大きな課題となる。「夕刻葬」で「食事提供」の商機を増やすことは、葬儀社の支援にもなるのではないか。そんな考えを伝えると、野口社長は笑顔でこう答えた。

 「この取り組みが葬儀社さまのためにもなればうれしいですね。実際、この夕刻葬は葬儀業者さまから極めて良い反応をいただいております。中には『よく始めてくれた、私たちも応援します』という心強い声もいただいています」

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