コラム
JCBはなぜ「最大10%」をシンプルにしたのか 条件だらけの還元競争に向き合った一手(1/3 ページ)
クレジットカードのポイント還元競争が複雑さを増す中、JCBは最大10%還元の新ポイント制度で「シンプル」を打ち出した。なぜ条件をそぎ落とす戦略を選んだのか。競合比較とネットの反応から、その狙いと限界を探る。
クレジットカードのポイント還元競争が、どうにも息苦しい。三井住友フィナンシャル・グループのOlive、三菱UFJフィナンシャル・グループのエムット。各社が打ち出す「最大◯%還元」の文字は踊るが、その下にぶら下がる条件の多さよ。タッチ決済限定、専用アプリ必須、月◯回以上の利用――。正直、疲れる。還元率を最大化するには、攻略本が必要なレベルだ。
そこに老舗JCBが一石を投じた。2026年1月13日開始の新ポイント「J-POINT」は最大10%還元。数字だけ見れば、なかなかやる気だが、まず概要を押さえておこう。J-POINTは、従来の「Oki Dokiポイント」を刷新した新サービスで、対象はJCBオリジナルシリーズのカード会員となる。
10%還元の目玉は飲食チェーンだ。ガスト、バーミヤン、サンマルクカフェ、スターバックス、マクドナルド、吉野家、ドミノ・ピザなど、日常使いの店がずらりと並ぶ。ディズニープラスも10%で、サブスク勢にはうれしい。事前のポイントアップ登録は12月16日から始まっており、還元は基本的に2026年1月13日の利用分から適用される。
で、条件はというと。1回登録するだけ。決済方法の制限なし。引き算で勝負に出た、らしい。ただ、話がうますぎる。本当にそれだけなのか。ちょっと確かめてみた。
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