2015年7月27日以前の記事
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JCBはなぜ「最大10%」をシンプルにしたのか  条件だらけの還元競争に向き合った一手(2/3 ページ)

クレジットカードのポイント還元競争が複雑さを増す中、JCBは最大10%還元の新ポイント制度で「シンプル」を打ち出した。なぜ条件をそぎ落とす戦略を選んだのか。競合比較とネットの反応から、その狙いと限界を探る。

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なぜ「シンプル」を選んだのか

 念のため、競合の状況を整理しておく。

 Oliveは、対象店舗で最大20%還元をうたう。ただしスマホのタッチ決済が必須で、カードでの支払いは対象外。家族のカードをひもづける「家族ポイント」、SBI証券との連携、Vポイントアッププログラムの達成など、条件を積み上げてようやく最大値に届く設計だ。

 エムットはさらに手強い。アプリに月1回ログインで+0.5%、月5万円以上利用で+0.5%、三菱UFJ銀行で給与受取+1%、三菱UFJダイレクトにログイン+1%、日経電子版やAppleのサブスク登録で最大+5%……。専門サイトですら「分かったような、分からないような」と評するありさまだ。

 こうした中、新ポイント制度で巻き返しを図るJCBの販売促進部、石谷佳昭次長に話を聞いた。

 「いろいろと条件を組み合わせて最大20%、というところも最近は多いですよね。ただ、お客さまにとっては分かりにくかったり、達成が難しかったり。われわれはシンプルに、簡単にお得を提供したかった」


「J-POINTパートナー」対象ショップ

 カードで支払っても、スマホ決済でも、ゴールドでも一般カードでも、JCBなら10%還元は変わらない。

 「ポイントって、カードを選ぶうえで最も基本的な基準だと思うんです。あまりに複雑な条件を設けすぎると、分かりやすさが阻害される」

 とはいえ、完全に手放しではない。店舗ごとに、最初に1回だけ「ポイントアップ登録」が必要になる。なぜか。

 「スタバと別のコーヒーチェーンが並んでいたときに、『あ、スタバをポイントアップ登録したな』と。少しでも意識に残してもらいたいんです」

 加盟店への送客効果を狙った設計だ。SNS上では「いちいち登録が面倒」という声もあるが、石谷氏は「ボタンを押すだけ。1回だけです」と強調した。

 正論だ。ただ、正論がそのまま通るほど商売は甘くない。

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