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なぜ、クレカは“主役”になれなかったのか 銀行が先に広げた「組み込み金融」エンベデッドファイナンスの誤算(1/5 ページ)

クレジットカードは本来、異業種と結び付く「組み込み金融」の先駆けだった。だが、なぜ銀行に主役の座を譲ったのか。システムの制約や業界構造をひも解きながら、CCaaSを起点に始まったクレカ業界の変化を追う。

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 「エンベデッドファイナンス(組込型金融)の元祖は、提携カードなんです」

 次世代クレジットカードを手掛けるナッジ(東京都千代田区)の沖田貴史社長はこう語る。ANAカード、JALカード、楽天カードなど、航空会社や小売企業が自社ブランドを冠したクレジットカードを発行する仕組みは、日本で数十年の歴史を持つ。金融機能を非金融企業のサービスに組み込むという意味では、まさにエンベデッドファイナンスの先駆けだった。

 ところが近年、「エンベデッドファイナンス」の文脈で語られるのは、もっぱら銀行系サービスである。住信SBIネット銀行が手掛けるBaaS(Banking as a Service)はJAL、ヤマダデンキ、高島屋など大手企業が相次いで採用し、楽天銀行とJR東日本の「JRE BANK」も話題を呼んだ。「元祖」であるはずのクレカ業界は、なぜ銀行に先を越されたのか。


クレカの発行モデル(Geminiで筆者が作成)

 その構図を変えようと、ナッジが12月19日に投入したのが「クレカ as a Service(CCaaS)」である。カード発行会社(イシュア)のライセンス、システム、専用アプリまで一式をパッケージとして提供し、異業種企業が自社ブランドのクレカを発行できるようにする仕組みだ。

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