スマホはディズニーの”魔法”を壊すのか? 没入感を生むUXと削るUX:グッドパッチとUXの話をしようか(3/4 ページ)
「ゲストがスマホの画面を見るたびに、パークの魔法が壊れてしまう」――ディズニーが効率化を図って導入した公式アプリがもたらした弊害だ。一方、このテクノロジーによって新たに生み出された魔法も存在する。アプリによってゲストの体験はどう変わったのか?
「その人の最大限」を支えるナビゲーション
では、この状況をどう捉え直せばいいのでしょうか。アプリの存在を前提とした現在の問題は、来園者のニーズに応じたカスタム仕様ができない、画一的な情報提供とナビゲーションが設計されてしまっていることではないかと思います。
例えば、チケット購入のタイミングで「その日は、どんな一日にしたいですか?」という問いをアプリから投げかけられたとしたら?
来園者はアプリ上で「できるだけ多くのアトラクションに乗りたい」「子どもと一緒に、無理なく楽しみたい」「パレードやショー、雰囲気を中心に楽しみたい」「パークをのんびり散歩するように過ごしたい」といった選択肢から当日の理想的な過ごし方を選択します。
そして、その選択に応じて、アプリ上のおすすめ表示や優先的に案内する機能を変えていくのです。「アトラクション多め」を選んだ人には、混雑状況やパス取得のタイミング、効率的な回り方を積極的に提案する。
「子どもと無理なく」を選んだ人には、ベビーカー置き場情報、休憩しやすいスポット、子ども向けアトラクションやショーの時間帯を中心にしたナビゲーションを用意します。「雰囲気重視」を選んだ人には、景観のいいスポット、音楽や建築の見どころ、パレードの雰囲気を楽しみやすい場所といった情報を届ける設計も考えられます。
さらに、チケットの買い方に応じてサポートのモードを変えるのも有効かもしれません。デジタルチケットを選んだ人には、アプリでのきめ細かなナビゲーションを。窓口で紙チケットを選んだ人には、プリセットされたおすすめルート付きの紙マップ、入口や要所での分かりやすいサイン掲示、キャストによる口頭での案内といった「アナログな導線設計」を強めるなども有効でしょう。
デジタルが得意な人だけを前提にせず、アナログ派にも、その人なりの最大限に近づく道を用意することが必要です。それは、情報の量を増やすことではなく、「その人が受け取りやすい形にまで情報を加工すること」だといえるでしょう。
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