半導体とレアアースはどこへ向かうのか 2026年に高まる“見えないリスク”:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
世界的に注目される半導体やレアアースは、AIの急速な進展を背景に、2026年はますますその重要性が高まるだろう。米国や中国の貿易戦争によって、輸出規制などが実行されると、日本企業のビジネスに大きな影響を及ぼす可能性がある。
米国は対中国の「半導体戦略」を転換
レアアースと同様に、半導体の動向も注目されている。
これまで米国は、中国へのハイエンドな半導体の輸出を厳しく規制してきたが、それが一転した。トランプ政権のAI・暗号資産の責任者で「AI皇帝」と呼ばれるデービッド・サックス氏を中心に、中国との戦いにおける先端技術の扱いを変えようとしているのだ。
12月9日、トランプ大統領が自身のSNSである「トゥルース・ソーシャル」でこんな投稿をした。
「私は中国の習主席に対し、米国は強固な国家安全保障を維持できる条件下において、中国およびその他の国の承認された顧客へのNVIDIA製『H200』製品の出荷を許可する旨を伝えた。習主席は前向きに応じた! 25%が米国に支払われることになる」
この方針の意図は、最新鋭よりも少しだけ性能を落とした半導体を中国に提供することで、米国のデータ基盤に依存させることだ。それが米国にとって有利になるという。要は、米国が管理する半導体を使わせて中国の動きをコントロールする、ということだ。
その戦略がうまくいくかは未知数だ。まず、中国政府が直ちにこの発表に反応し、「拒否する」と見解を明らかにしたという。米国の思惑には乗らないぞ、ということだろう。というのも、中国も独自にファーウェイ製の半導体などを国内で普及させようとしており、より優れた半導体がどんどん入ってくると困る、という事情もある。
このトランプ大統領の方針転換には反発も起きている。ジョー・バイデン政権で大統領補佐官だったジェイク・サリバン氏は「中国を中毒にできるという議論は通用しない。彼らが今米国製チップを欲しがる理由は単純だ。米国のチップを手にして、AI競争での遅れを埋め、独自のチップ開発で米国に追いつきたいのだ」と指摘している。
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