SaaSだけでは勝てない──SmartHR社長が語る タレントマネジメント市場、生き残りの突破口(2/4 ページ)
人的資本経営の掛け声のもと、多くの企業がタレントマネジメントシステムを導入してから5〜6年。「本当に使えているのか」と問い直す動きが広がっている。労務管理クラウドでは7年連続シェア首位のSmartHRだが、タレントマネジメント領域ではカオナビやタレントパレットを追う立場だ。「2026年を勝負の年」と位置付ける同社の戦略を追った。
「入れたけど使えない」の正体
タレントマネジメントはなぜ活用されないのか。調査データは課題の深刻さを示している。
SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」の調査によると、導入後に「課題に直面した」企業は62%。主な要因は「操作性が悪く現場に浸透しなかった」「データ更新が徹底されず情報が古くなった」「既存システムとの併用でデータが分散した」といったものだ。
HR総研の調査では、利用目的の多くが「人事情報の一元管理」にとどまり、「人材配置の最適化」「離職防止」「後継者育成」など戦略的活用ができている企業は2〜3割に過ぎないとされている。「これは当社のタレントマネジメントでも同じ」と芹澤氏は率直に認める。
背景には複合的な要因がある。一つはデータの散在だ。基本情報は基幹システム、評価はExcel、研修履歴は紙ファイルなど、データが分散している。運用設計が不足しているため、どのデータを誰が見て、どう意思決定に使うのか。現場はそもそもの使い方が分からない状態だ。
そこには日本企業特有の構造もある。「人と組織のデータは体系的に整備されていない。センシティブなのでアクセスできる人が限られる」と芹澤氏。「多くの場合、人事か一部のトップしかデータを見てタレントマネジメント的な施策ができていない」
人事データは「人事部の特権」。現場マネジャーが自部署の状況を把握したくても、アクセス手段がないのが現状だ。
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