ファミマのクレーンゲーム戦略をどう見るか 「あそべるコンビニ」がそっと映し出す、厳しい現実(3/4 ページ)
ファミリーマートが進めるクレーンゲーム設置は、「あそべるコンビニ」という新しさで注目を集める。一方で、その試みは差別化が難しくなったコンビニ業界の厳しい競争環境も静かに映し出している。
しかし、それはローソンと「同じ」でもある
ただし、気になる点がある。引っかかるのは、今回の施策が「ファミマ固有のものなのか」という点だ。
この「空いた店内スペースに、ゲーム機を設置して来店動機をつくる」施策は、すでにローソンが先行している。ローソンはクレーンゲームを2024年春から本格導入し、2025年9月末時点で導入店舗数は1300店舗を突破した。売り上げは、当初の目標を3割上回ったという。
ローソンは導入の狙いを「近くのコンビニでクレーンゲームを気軽に楽しんでいただきたい」「コンビニに足を運んでいただくきっかけにしたい」という。ファミマが今回掲げた狙いとほぼ同じだと見てよい。
要するに、成功しているモデルが、すでにある。うがった見方をすれば(あるいは純粋に見たとしても)、今回のクレーンゲーム導入は(話題になっているとはいえ)「他社の後追い」である。
「成功している他社のサービスを模倣する」――。当然のことに思えるかもしれない。ところが、この「似てしまう」感じ、少し難しくいえば「同質化」は、実は長らくコンビニを苦しめてきたことでもある。
コンビニの歴史は、「単にモノを売る場所」から、公共料金の支払いやATMの設置、さらには防災・防犯拠点など、さまざまな機能が怪物のように合体してきた歴史でもある。
ところが、それらの機能はほとんどのコンビニが「同じ」ものとして備えている。そこには、「他社がやっているので、ウチでもやる(でなければ、人が来なくなる)」という考えがある。コンビニは特定地域に集中出店するドミナント戦略を取ることが多いため、この「他社模倣」は他の業界に比べて激しく起こりがちで、コンビニ業界の問題点として指摘されてきた。
本来、クレーンゲーム設置も「同質なコンビニの中で色を出す」戦略だったと思う。公共料金のサービスなどと違って、「アミューズメント」は必要不可欠ではなく、なかったとしても利便性や魅力が直ちに低下するわけではないからだ。冷静に考えれば「必ずしも真似する必要がない」。
ところが、同質化が行き着いた先には、こうした「色を出すための機能」までもが似てくるということだ。
その意味で、コンビニにおける「同質化」は根が深い問題だといえよう。
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