最大5000円で「行列をスキップ」して先頭に 飲食店ファストパス、誰が使っている?(3/6 ページ)
飲食店版ファストパス「SuiSui」の導入店舗がじわじわ増えている。これまでも類似サービスはあったが、どのような特徴があるのか? またどのような人がどのような理由で使っているのだろうか? 代表取締役の佐藤氏に取材した。
「ふざけるな!」 渋谷の人気店で怒鳴られた実証実験
SuiSuiの実証実験は2023年1月、渋谷の町中華「喜楽」でスタートした。ランチタイムには行列ができる人気店だ。現在は価格変動制を採用しているが、当時は価格固定制で運用を開始した。
「喜楽さんでは最初500円で案内していました。ある時、チケットを購入する人が続出して、SuiSui利用者の列にたくさん人が並んでしまいました。その時に普通に待っていた先頭のお客さんに『ふざけるな! 一生入れないだろ』と怒鳴られたんです」
その経験を踏まえて、価格変動制への移行を決めた。当時は行列を見ながら、「あそこの路地に入ったら700円にしよう」「あの店の前まで列が続いたら1000円にしよう」といったアナログな調整をしていた。
価格の上げ幅を見誤ると、SuiSuiの利用者は減ってしまう。その適切な水準を見極めるのが難しかった。喜楽での実証実験からヒントは得られたものの、混雑状況に応じて価格を自動的に決められる段階には至らなかった。その後、実証実験の場を名古屋の「矢場とん」に移し、2023年3〜10月まで試行錯誤を繰り返した。
「矢場とんさんでは、列に並んでいる人全員に『今500円払ったら先頭に行けますが、どうですか?』と話しかけて、購入時間と組数、購入理由を調査しました。また、購入につながる待ち時間や待ち環境についても複数店舗に足を運び仮説検証を行いました」
8カ月の実証実験を経て、客単価、席数、回転率、客層、待ち時間、待ち環境の6つの要素を基にチケット価格が自動的に変わる仕組みを整えた。その中でも、特に「待ち時間」と「待ち環境」が購入を後押しする要素として大きいという。
「待ち時間でいうと、視覚的に『30分ほど待ちそう』という感覚が生まれると購入率が上がります。人数でいうと10組20人並んでいる状態です。待ち環境は少し複雑で、例えば店頭で待てるのかどうかも大きく影響します。店舗Aは店頭で待てるけど、店舗Bは店頭で待てるのは10人程度で、それ以降は100メートルくらい離れた待機場所に列を作ってもらう。Bの店舗の場合、待機場所から店の入り口が見えないので『いつ入店できるのだろう?』と不安になり、購入につながることも多いです」
実証実験の中では、カメラで待ち時間をリアルタイムで計測して価格に反映させる案も出たが、列が離れている場合に両方を計測するのが難しかったり、初期費用やメンテナンス費用が発生したりする理由から断念した。
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