「私の仕事、なくなりますか?」 DHC、買収後の社員の不安に“全員対話”で向き合った3年間(2/3 ページ)
経営体制が変われば、当然、現場にも影響を与える。ディーエイチシーは2023年に新経営体制に移行。変革を進める中で生まれた社員からの不安の声に、同社はどのように向き合ったのか。
「自分の仕事はどうなってしまうのか……」広がる不安への対応
変革を進めていったDHCだが、全てが順調に進んだわけではない。
経営体制や組織のあり方が大きく変わる中で、社内には不安が広がっていた。
「自分の仕事はこの先どうなるのか」「部署そのものがなくなってしまうのではないか」。社員からは、将来に対する切実な声も集まっていたという。
「社員の不安を払拭できるよう、まずは会社の現状や方針を伝えることを目的として、当社にとっては初の社内報を発行しました。しかし、『自主自律型』の会社へと変化するためには、経営側の考えを一方的に発信するだけでは不十分で、社員の声を聞くことが重要だと考えました」(山本氏)
同社が掲げる「自主自律型」とは、現場が自ら考え、部門を越えて意思決定に関与できる組織を指す。
そこで、全社員と代表取締役3人が対話をする「タウンホールミーティング」を開催。1回当たり40〜50人が参加し、全11回実施した。実際に、代表に向けて「これから、自分のポジションがどうなるのか不安」と素直な気持ちを伝える社員もいたという。
全社員のタウンホールミーティング参加を終えたのち、2024年5月には初の社員総会も実施。若手を中心とするプロジェクトチームが運営しており、26年2月には3回目の開催も予定されている。
よりカジュアルな雰囲気で代表と接する機会として、月に一度、宮崎社長が6〜8人の社員と対話する取り組みもスタート。参加者は役職を持たない社員に限定し、「どのようにオンとオフの切り替えをしているか」「部署異動した際のモチベーションの保ち方は」など、ざっくばらんな対話がなされているという。
同社は2024年5月にパーパスを新設しているが、これらの施策は社員へのパーパス浸透の場としても作用している。また、従業員エンゲージメント調査も新たに始めており、施策の効果を測っていくという。
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