課長層にただよう「諦め感」をどう解決する? いすゞ自動車が「生のエグい声」を拾うためにやった“禁じ手”(1/3 ページ)
世の中の課長は誰からもケアされず、孤立しているのかもしれない――。危機感を覚えたいすゞ自動車が行った「禁じ手」とは。
中間管理職はしばしば「孤立した存在」となり、誰からもケアされることなく、放置されてしまう――。
アビームコンサルティングの佐藤一樹氏(人的資本経営戦略ユニット)によれば、中間管理職は経営層の戦略を現場に落とし込む「翻訳者」であり、現場のリアルな声を経営に届ける「代弁者」だ。しかし経営層からは「問題が少ない層」と見なされ、放置されがちであるともいう。
商用トラック・バスメーカーのいすゞ自動車も例外ではなかった。同社の課長層は会社の目指す方針に理解を示しつつも、現場は疲弊し、半ば「諦め」の空気が漂っていた。この危機をどう乗り越えようとしたのか。「やや危険なやり方だった」と振り返るのは、同社の人事部門VP、武田修氏だ。
従業員体験(EX)管理ソフトウェアを提供するクアルトリクス(東京都千代田区)が11月10日に開催した講演から、内容を抜粋して紹介する。
課長の心が離れる「静かな危機」
いすゞ自動車は、貿易摩擦によるコスト増にも対応しながら、直近数年は売上高、営業利益ともに堅調に伸ばしてきた。
一方で自動運転やデジタル化の波など、市況環境はめまぐるしく変化している。そこで同社は企業理念を「運ぶを支える」から「運ぶを創造する」に変更。求める人材も「組織風土に合う人材」から「イノベーションに挑戦する人材」にシフトした。
合わせて、経営層は社員の会社へのエンゲージメント(愛着心、貢献意欲)を測るため、2024年春に初めて全社サーベイを実施。その結果、経営層と課長層の“温度差”が浮き彫りとなった。
「回答率は86%と初回にしてはまずまずの滑り出しだったが、エンゲージメントスコアは47%と想定よりも低く、業界平均値と比べても渋いスタートだった」(武田氏)
回答結果は「中立的」なものが多く、社員が本音を隠している可能性がうかがえた。最も目立ったのが、課長層のエンゲージメントスコアの低さだ。部長層とのスコア差は約20ポイントにも及んだ。
武田氏はこうした結果を「課長に問題があるのではなく、経営と現場の狭間にいる課長層に、組織全体のさまざまな問題が集中した結果」だと考えた。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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