課長層にただよう「諦め感」をどう解決する? いすゞ自動車が「生のエグい声」を拾うためにやった“禁じ手”(2/3 ページ)
世の中の課長は誰からもケアされず、孤立しているのかもしれない――。危機感を覚えたいすゞ自動車が行った「禁じ手」とは。
組織の本質を突き止めた「禁じ手」 サーベイの“答え合わせ”
仮説を検証するために、さらなる調査を行うことに。課長層のエンゲージメントにおける課題を特定するため、「禁じ手」とも呼べる手法に打って出た。それは、サーベイ結果を基にした「答え合わせ」である。
「答え合わせ」とはつまり、課長数名を呼び出し、一人一人に直接インタビューしながら仮説の精度を高めていくというやり方だ。原則として、こういったエンゲージメントサーベイは回答者が匿名のもと回答するものだ。対面で直接聞き込みをするのは確かに禁じ手かもしれない。
禁じ手とは思いつつも、サーベイだけでは見えてこない本当の気持ちをさぐるべく、課長たちにインタビューの目的を説明した。課長層は「みんなのためになるなら」と腹をくくり、「何でも話しますよ」と協力してくれたという。
インタビューに臨む前、武田氏はサーベイの自由記述や背景情報から、課長層が抱える7種類の否定的感情を想定していた。「報酬・評価に対する不公正感」「戦略の実現性に対する非現実感」「リソース不足や現場の課題が放置されることへの不満感」「褒められない文化やキャリアに対する諦めの感情」などだ。
実際にインタビューしたところ、課長層から多くの本音を聞くことができたという。「ここでは言えないほどエグイ内容もたくさんあった」(武田氏)そうだが、実際の声を聞いたことで仮説の精度を高められ、特に発生頻度の高い否定的感情の特定につなげることができた。
後日、インタビュー結果をまとめて課長一同に共有した。すると「やっぱりそうだったんだ」と爆笑されたという。「『おそらくこうなんじゃないかな』と思っていることも、実際に聞いて確かめることが重要」だと武田氏は語る。
そして武田氏は、収集した「生のエグい声」を、あえて加工しない形で経営トップに伝えた。
課長へのインタビューを実施するまでは、経営トップから「(エンゲージメントスコアの)数字だけ出てきても分からないだろ」「この結果を人事部は素直に信じるのか」といった厳しい問いかけもあったという。
答え合わせインタビューは、こうした経営層との「売り言葉に買い言葉」で始まった経緯もあったそうだが、生の声を伝えたことで経営トップがいよいよ深刻に捉えることに。経営会議で異例となる4回連続で、主要な議題として議論されるになったという。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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