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課長層にただよう「諦め感」をどう解決する? いすゞ自動車が「生のエグい声」を拾うためにやった“禁じ手”(3/3 ページ)

世の中の課長は誰からもケアされず、孤立しているのかもしれない――。危機感を覚えたいすゞ自動車が行った「禁じ手」とは。

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「道半ば」でも確かな変化

 この「生の声」を起点とした改革は、すでに確かな成果を生み出している。

 2024年春の前回サーベイと比べて、2025年春サーベイでは、回答率が86%から95%に大きく向上した。エンゲージメントスコア自体は47%から49%への2ポイントの向上にとどまったが「中身は前回調査と比べるととんでもなく違っていて、『話を聞いてくれるようになったか』という項目は飛躍的に改善した」と武田氏は手応えを語る。

 では、具体的な改善策としては何をしたのか? 武田氏は「とにかく対話を増やした」ことを挙げる。

 全社レベルでは、経営層と社員が対話する場を継続的に設けた。部門ごとでは、人事部門が主導するのではなく、その部門ごとに「自分たちがやっている」という自律性を尊重した改善活動が進められた。

 ある部門では、複数の課長とHRBP(人事ビジネスパートナー)がタッグを組み、各種働き方の向上活動を開始。別の部門では、部門トップと若手有志が改善活動と部門通信を作成。マネジメント全員が組織体制、会議体、異動も含めて見直すという、大胆な改革に踏み切った部門もあった。

 武田氏は、この改革はまだ道半ばであるとしながらも、「人事タスクよりも自分ごと化、説得よりも共感」で捉えることが、数値の変化につながると結論づけた。

サーベイだけではただのデータ、課長層は「教師たる存在」

 エンゲージメントサーベイの結果は、それ自体では「ただのデータ」に過ぎない。傾向をつかみ、仮説を立てることは可能だが、それを一般化すると課題の本質を見誤る。

 武田氏は「遠回りのようだが、足で稼ぎ、対話すること」で社員自身の思いが発掘できると強調する。そして、中間管理職である課長層について、「中間にいるがゆえ、会社と社員の目線を両方持っている教師たる存在」であり、「他責性は少なく、非常に頼もしい」存在であることを、いすゞ自動車は再認識できたと締めくくった。

 武田氏は「うちのやり方を真似するのは危ないかもしれない」と苦笑する一方、「現場の生の声に真摯(しんし)に向き合う泥臭い対話のプロセスこそが、組織変革の第一歩」だとした。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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