「まいばすけっと」が都心に増え続けるワケ イオンが仕掛けた“ちょっと変なスーパー”の正体:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
まいばすけっとが京浜間で急増している。そほ背後には、イオンの巧みな“小規模スーパー展開”の戦略があった……。
「インストア加工」が店舗展開のハードルに
まいばすの真の狙いを理解するためには、まずはスーパーの店の構造について説明しておく必要がある。
チェーンストアであるスーパーは、商品を物流センターなどの特定の場所に集め、商品の積み替えや、生鮮品の小分けなどを行い、各店舗に配送する「センター供給」を採用している。しかし日本では、センターなどで生鮮品を集中的に小分けやパック詰めをせず、各店舗のバックヤードで行う「インストア加工」が一般的だ。
これは、魚食や生食習慣のある日本の消費者が鮮度に非常に敏感であり、売場の裏で加工してすぐに出すインストア加工の店が生き残ったためである。スーパーに行くと、青果、鮮魚、精肉、そして総菜と、壁に沿って生鮮・総菜売場が並んでおり、その壁面がガラス張りになっていることが多い。こうして、わざとインストア加工であることをアピールしているのである。
ただ、このインストア加工は店舗ごとに作業場を設ける必要があるため、労働集約的な収益構造となる。また、インストア加工用のバックヤードは売り場の半分ほどの広さを要するため、通常の1.5倍の店舗面積が必要となる。人件費も賃借料も余計にかかるため、かなり非効率なのである。
そのため、広い店舗スペースの確保が難しく、人件費や賃借料も高い首都圏中心部においては、大型のスーパーを出店することができなかった。大手スーパーは、地方や郊外ではロードサイド(幹線道路沿い)に大量に出店して中小や零細小売のシェアを奪って成長した。しかし、東京23区とその隣接エリアでは、大型店舗の出店場所が限られていたため、中小スーパーや商店街のシェアが残っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ドラッグストアの大規模再編で、クリエイトSDが描く“勝ち筋”は?
ドラッグストアの大規模再編に終わりが見え始めている。その中で、神奈川トップクラスのクリエイトSDは、今後どのような成長を描いているのか?
トライアルGO、都内初出店 コンビニではない“真の競争相手”とは
トライアルGOが都内に初出店した。イオンのまいばすと似た形態で、「コンビニのライバル」とも報じられた。ただ、こうした小型スーパーの出店で困るのは、実はコンビニではなく、全く別の企業なのである……。
ヨーカ堂の“負け癖”断ち切れるか 復活支える「潤沢な投資余力」も
セブン&アイと分かれ、米投資ファンドのベイン傘下で再出発を切ったヨークHD。2028年の上場までに、歩むべき道のりとは?
イオンの攻勢、セブンの苦境――「スーパー大再編時代」と寡占化の行方
各地でM&Aを行い、小売業のトップの座を確立しつつあるイオン。一気に攻勢をかける理由は何なのか。そして次なるライバルはどの企業なのか。
収益悪化が止まらない自販機業界 結局「人手」が必要なビジネスの現実
「自動販売機=省人化」のイメージに反し、実際は人手に頼る構造を持つ自販機ビジネス。人件費の高騰や売上の減少が収益を直撃し、業界は今、大きな転換点に立たされている。
