6万円で苦戦したのに、なぜ8万円でヒットしたのか イワタニが炊飯器の“居場所”を変えたワケ:インタビュー劇場(不定期公演)(3/5 ページ)
アウトドア向け炊飯器として登場し、6万円で苦戦したイワタニの炊飯器。機能はほぼ変えず、価格は8万円に引き上げた新モデルがヒットした。その背景には、用途や競合を見直し、商品の“居場所”を家庭に移した戦略があった。
「家庭用」を前面に打ち出した
土肥: 前モデルのハンゴーは、2023年に終売しました。新モデルのプロゴハンの開発は、いつスタートしたのでしょうか?
阿部: 2023年ですね。
土肥: ちょ、ちょっとお待ちを。売り上げが苦戦して、炊飯器事業から撤退した。ネガティブな印象がまだ残っている中で「また、炊飯器を販売するのはどうでしょうか? 今度は黒色で」と言っても、周囲の反応は冷めていたのではないでしょうか。「はあ? 炊飯器って、撤退したばかりでしょ。色を変えて新商品なんて、むりむりむり」といった声があったのではないでしょうか?
阿部: いえ、実はそうでもなかったんですよね。先ほど申し上げたように、ハンゴーは2021年に投入したものの、初速がそれほどよくなかった。営業にチカラを入れて「なにがなんでも売る!」といったテンションではなく、在庫を少しずつ減らしていくといった取り組みをしていました。ですので、企画会議で「炊飯器をつくりたいです」と提案したときに、周囲からは「そういえば、そういった商品もあったなあ」といった反応でした。
前モデルでは「アウトドア」を打ち出しすぎた反省もあって、新モデルでは「家庭用」を前面にアピールしました。使うシーンは非日常ではなく、毎日の食卓。競合は飯ごうやメスティンではなく、高級炊飯器や土鍋。前モデルと機能面はほぼ同じでしたが、競争している市場が全く違うことを訴えたところ、企画会議で「開発してもいいよ」とゴーサインが出ました。
土肥: で、どこから始めたのでしょうか?
阿部: 色ですね。家電量販店の炊飯器コーナーを見ると、おしゃれな商品が多い。機能だけでなく「カッコイイと感じてもらうことが大切」なのではないかと考えました。とはいえ、「黒色にしました。いかがでしょうか?」ではなく、黒をベースに和をイメージさせる「レザートーン」仕上げにしました。表面を触ると、少しザラザラしているんですよね。当社の商品でいえば、高級カセットコンロでレザートーンを採用しています。
あと、前モデルで改良が必要な点がいくつかありました。カセットガスの差し込み口のフタがやや締めにくかったり、お米を炊くときにはどうしても熱くなるので、その影響で本体にややゆがみが出たり。もちろん、安全性に問題はないですが、課題になっていた点をひとつずつ改善していきました。
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