任天堂、好決算でも株価急落……Google「ゲーム生成AI」の衝撃、唯一無二のゲームブランドを脅かすか(2/4 ページ)
任天堂の株価が急落している。その背景にはメモリ不足に加え、Googleが公開した実験的プロトタイプ「Project Genie」が世界に与えた衝撃がある。
AdobeやFigmaはいち早く株価下落 「創造の民主化」で
任天堂が直面しているこの危機は、米Adobeや米Figmaが既に経験している評価の修正と同じ方向性をたどっている。
両社は主にプロフェッショナル向けのクリエイティブ系ソフトで圧倒的な地位を築き、サブスクモデルで安定した収益を上げてきた。しかし生成AIの台頭により、熟練した技術を持たない人でもプロ並みの成果物を作れるようになると、市場はAdobeの高すぎる月額料金に疑問を抱き始めた。
これまで、Adobeの「イラストレーター」や「フォトショップ」といったソフトはプロのデザイナー間では業界標準となっており、どれだけ月額料金が値上げされてきても契約を継続せざるを得ないという認識が一般的であった。
業界内では、これを「Adobe税」などと皮肉る形で表現されてきたが、ここ1年で「Adobe税を卒業する」という趣旨の投稿がSNS上でも急増している。
ちなみに筆者も6年間ほど「Adobe税」を支払ってきたが、3月にサブスクリプションの期限が切れたら卒業する予定だ。
こうした外部環境の変化を受けて、Adobeの株価はわずか2年間で半額以下まで目減りした。
Figmaの場合はより深刻だ。2025年の8月には140ドルを超えていた株価が、直近で24ドルまで売り込まれている。いかに巨大な企業や知名度のある企業であっても、生成AIが引き起こしたビジネス環境の変化で窮地に追い込まれる事例は後を絶たない。
これは、AIが「創造」の参入障壁を下げた結果、ツールの価値が低下し、供給過多によってコンテンツの希少価値が失われる経済原則を反映している。この現象は、クリエイティブ領域だけでなく、あらゆる「無形資産」を収益源とするSaaS企業を中心に波及しつつあり、海外では「SaaS is Dead(SaaSは死んだ)」という言説がしきりに投稿されるようになってきた。
この点、任天堂はさまざまな伝説級のゲームクリエイターや経営陣によって支えられた「任天堂ブランド」を競争優位性としている。
しかし、近年では「パルワールド」のように知名度の低い企業がリリースしたゲームがゲーム産業の勢力図を一変させるような事例も生まれている。
Googleの提供するAI技術が、ゲーム生成を本当に可能としてしまえば、アイデアさえあれば自分が一番欲しかったゲームを消費者自身が自作できるようになる可能性すらある。
そうなれば、イラストや音楽と同様、「ゲーム機に数万円、ゲームソフトに数千円を支払う」という現在の商慣習そのものが崩壊しかねない。
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