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円安ジャパンの盲点 なぜ「消費減税」で日本は救われないのかスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

自民党の歴史的大勝で消費減税を期待している人もいるかもしれないが、既に日本では消費減税などを軽く吹き飛ばすような「社会保障費の膨張」が起きている。少子高齢化が進む日本で、国民にできることとは……。

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 高市首相の国民的人気で自民党が歴史的大勝をしたことを受けて、ビジネスパーソンの皆さんは「サナエノミクス2.0」にどう対応していけばいいのかを考えていることだろう。

 そんな中で多くの方が頭を悩ましているのは、やはり「円安」ではないか。


「円安ホクホク」は本当か(提供:AC)

 ご存じのように日本は食料、エネルギー、そして最近話題になったレアアースなど、製造業に必要な原料の大半を「海外からの輸入」でまかなっている。つまり、円安が今以上に進めば、われわれ庶民の暮らしは間違いなく今よりも苦しくなっていく。

 高市首相が圧倒的な国民支持を背景に、積極財政や減税に踏み切って国民から拍手喝采を受けたとしても、少し前と同じように、国際マーケットが「ノー」を突きつけてくる可能性がある。このような円安リスクと常に隣り合わせの中で、事業戦略、設備投資などをどうすべきかは判断に迷うことだろう。

 そういう社会不安が高まると、政権運営が不安定になりやすい。そこで高市首相は選挙中に「円安で輸出産業がすごくもうかっている」などとおっしゃったわけだが、残念ながらこの「円安ホクホク」は、貧しい庶民にまで回ってくる話ではない。

 日本にある企業およそ360万社のうち、99.7%が中小企業で、そのうち約8割は輸出に関わっていない。大企業はわずか0.3%に過ぎず、しかもそんなウルトラマイノリティーの中でも、輸出企業は3割弱しかない。

 ついでに言えば、日本国民の7割は中小企業で働いていて、日本のGDPの7割は内需である。つまり、「円安で輸出企業がすごくもうかった」としても、その恩恵は国民にはほとんどないし、日本経済への影響という点では極めて"局地的な景気の良さ”なのだ。

 このような円安リスクを踏まえれば、減税や積極財政はやはり慎重に判断せざるを得ない。「国の借金1342兆円なんてザイム真理教に洗脳されたマスゴミのフェイクニュースだ!」と日本人が喉を枯らして主張したところで、海外では「あらら、高市首相は世界初のMMT(現代貨幣理論)実験を始めたのね」と判断されて円売りが加速するだけなのだ。

 では、どうすべきか。個人的には、今回の選挙で一部の政党が訴えていた「医療費を減らす」ような政策をさらに加速させて、もっと根本的な制度改革まで進めていくしかないのではないかと思っている。

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