「令和のシール騒動」が浮かび上がらせた格差 これまでのブームと何が決定的に違うのか:廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(1/3 ページ)
ボンボンドロップシールの過熱によって子ども間の「格差」が浮かび上がってきている。これまでのシールブームとどう違うのか?
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近年、子どもを中心にシール交換が流行している。学校や習い事の場でシールを持ち寄り、友だち同士で交換し合っているのだ。
お出かけ情報サイト「いこーよ」が、会員である父母を対象に実施した「シールに関するアンケート」によれば、「ぷっくり・キラキラ系シール(ボンボンドロップシールなど)にあなたの子どもは興味がありますか?」という質問に、合計54.0%が「興味を示している」(「とても興味がある」「少し興味がある」の合計)と回答した。
中でも「とても興味がある」の割合が圧倒的に高いのが小学生(6〜12歳)、特に7〜10歳がピークで、小学生がぷっくりシールブームの中心世代となっているようだ。
ティーン向けファッション誌『nicola』が中高生308人を対象に行った調査でも、シール帳を持っている中高生が48.0%と半数に迫る結果だった。
シール交換が流行している背景には、安価に「自分のもの」を持てる喜びや、かわいさそのものが価値になる世界観、そして好きなものを見せ合うことで関係を築ける手軽なコミュニケーション性がある。さらに、手のひらに収まる小さなコレクションへの愛着や、交換という“動き”そのものの楽しさが加わり、所有とやりとりが一体化した遊びとして成立していると考えられる。
令和のシール交換が持つ「特異性」
ただ、シール交換は今に始まった遊びではない。筆者が小学生だった頃にもブームはあり、当時は「タイルシール」(タイルのような見た目のシール)が流行していた。
ただし、今回のブームには明確な違いがある。子どもだけで完結していないことだ。購入情報を共有し、売り場をめぐり、抽選に応募するなど、大人「が」楽しむ消費現象として拡大していることが、今回のブームの特異性だ。
シールという本来は子ども向けの玩具について大人が積極的にSNSで情報を集め、入荷日を追い、希少品を見極めて購入するようになったことで、その知識や収集物が子どもの遊びにも流れ込んでいる。
親が自らの興味として動くことで、子どもはより多くのシールに触れ、何が珍しいのかも自然と理解し、時には親が手に入れた希少なシールを交換に用いることもある。こうした大人の能動的な関与によって、いい意味でも悪い意味でも子どものシール交換は、昔より少し“整った”遊びになっている。
とはいえ、大人と子どもが同じ楽しみ方をしているわけではない。子どもは子ども同士の関係性の中で交換を楽しみ、大人は大人同士で情報や購入体験を共有する。
大人でいえば、居酒屋で飲みながら交換をするといった楽しみ方もあるようだ。大人と子どもでは消費の仕方も楽しむ文脈も異なるため、完全に混ざり合っているわけでもない。
それでも、シール交換ブームそのものを俯瞰(ふかん)して見ると、両者が同じ対象をめぐって並行して楽しんでいる構図が浮かび上がる。「大人」「子ども」という二つの層が同時に存在する大衆的なブームとして成立しているのだ。
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