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社長が「ジョブ型」を採用したい本当の理由(1/2 ページ)

日本でもジョブ型の動きが広がっているが、本当にジョブ型は優れたやり方なのか?

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この記事は『THE BEST WORK 「最高の仕事」を生きる』(原丈人著、サンマーク出版)の内容に一部編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 この10年、日本でも厚生労働省が「ジョブ型雇用」を推進しようとしている。

 米国での一般的なジョブ型雇用は「仕事」を決めておき、そこに当てはまる「人」を雇う仕組みだ。営業は営業、経理は経理、法務は法務、事務は事務。ジョブがあり、それをできる人を雇用する。

 だから、経理部門を「外注する」となったら経理部門のスタッフは全員解雇。仕事がなくなったのだから、人もいらない。ジョブが優先であり、人はそれを行う道具。

 ジョブ型にすれば一定の専門的な技能が磨かれ、正社員でも非正規雇用でも待遇の差が生じにくく働きやすくなる、というのが推進する立場の人たちの主張だが、経営者は従業員を「ファイアー(解雇)」できるため、使える人間を残し、使えない人間はクビにするという、経営側にとってじつに効率のいいシステムなのだ。

 一方、多くの日本企業でこれまで定着してきた「メンバーシップ型雇用」は、「人」を中心にして管理が行われ、「人」と「仕事」の結びつきは自由に変えられるようになっている。人が優先であり、そのためにジョブが作られる。部署の異動も頻繁に行われる。

 これは、経営者にとっては頭の痛い仕組みでもある。

 ここで私はあなたに疑問を投げかけたい。

 米国のジョブ型は、本当に優れた制度なのだろうか?

 ジョブ型では、大学で経理を学び、企業の経理部門に就職した場合、インテルの経理部門、マイクロソフトの経理部門、Googleの経理部門というふうに転職をくり返していく。専門スキルとして会計と経理の能力は磨かれるが、逆に言えば、一生「その分野しか」知らないままになるわけだ。これでは視野が非常に狭くなる。

 一方、日本の会社の多くはメンバーシップ型雇用で、最初は平社員で経理部に配属されたとしても、2年ぐらいしたら営業部に異動し、次に製造部に、今度は海外支店を経験して、帰国したら研究所……のような「ジョブローテーション」が普通に行われる。いろいろなことに携わるから視野も広がり、人間としての面白みも増していく。

 経営者はその日の気分で「ファイアー」にはできない分、仕事で成果の出ていない社員とも長く接していくことになるが、だからこそ雇用は守られ、長い目で人を見守ることもできる。

 米国型の経営を学んだ人は、これを「効率が悪い」「スペシャリストが育たない」などと悪いように言う。しかし、本音は違う。

 長い目で見ると、ジョブ型のほうが終身雇用よりも人件費が安くなる。その分、利益が増す。だから米国は、日本企業にもその仕組みを導入させたいのだ。テイカーたちは、「自分が儲かるほう」をつねに選ぶ。

© Sunmark Publishing,Inc.

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