慕われる“雑談おじさん”を切り捨てた企業の末路 ギスギス職場を救う「見えない貢献」の正体:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/3 ページ)
かつて日本の職場には、仕事をしているのかいないのか分からないけれど、なぜか周囲に慕われる「潤滑油」のような先輩や上司がいました。今、こうした人々の「目に見えない貢献」が、再び脚光を浴びています。
会社は無駄な人扱いするけれど……
さて、いかがでしょうか。
★会社の期待度は真逆ですが、バブル崩壊後、真っ先に居場所を奪われた「無駄」に見える人々(油を売るおじさん・赤提灯上司)と、調査で明らかになった「キーパーソン」の意識と行動は、重なる部分が多々あります。★
油を売るおじさんは、日常的な声がけが得意技で、現場の課題に気付いてあちこち、ふらふらして回っていました。だからこその「油を売る」だったわけです。
また、赤提灯上司は、職場のメンバーと管理職の橋渡し役でした。上司の言動に落ち込んでいるメンバーに「〇〇さんは、●●だったんだと思うよ」などと、部下が知り得ない上司の心情や立場を代弁。部下の扱いに手間取っている新米管理職に「私が若い時、上司に△△って言われてさ。すごく嬉しくて、やっぱり部下は▲▲なんだよな〜」と部下の立場からアドバイスすることも。ときには会議に「〇〇も呼んだ」と別の部署の人を連れてくるなど、課題を解決するために部署を超えて、改善に動くこともありました。
彼らを「無駄な人」と決めつけたのは、「数字」ばかりを見ている経営陣だけ。現場のメンバーにとっては必要な人でした。
「私は会社に大した貢献もできなかった。目立たない存在でしたし、同期でも私のことを覚えてない奴らもいるんじゃないですかね(笑) 。でも、退職の日に『僕、Aさんがいるから頑張れたんです。Aさんの仕事との向き合い方が好きでした。ありがとうございました』って、30代の若い人に言われました。思いがけない一言で……。その一言に救われました。自分もここで働いていた意味があったんだなって。うれしかったです」
これは私がフィールドワークのインタビューに協力してくれたAさんの言葉です。キーパーソンという言葉にはない、「体温」が感じられるエピソードです。成果、結果、数字の世の中で、スピードが要求される時代だからこそ、無駄話や無駄な時間を提供してくれる。会社は無駄な人扱いするけれど、現場のメンバーはこうした人材を必要としているのではないでしょうか。
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