2015年7月27日以前の記事
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人口減でも利用者1.6倍、広告等の収益6000万円 茨城の「ローカル鉄道」の地域に根差した戦略(4/4 ページ)

赤字体質に陥りやすいローカル線の中で、好成績を上げている鉄道が茨城にある。ひたちなか海浜鉄道だ。人口減が進む中で、利用者数は1.6倍、広告収益は6000万円に上る。どのような戦略なのか?

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ひたちなか海浜鉄道を支える「応援団」

 ひたちなか海浜鉄道にとって、「おらが湊鐵道応援団」も地元連携の面で大きな存在だ。もともとは湊線の廃線方針が示された際、ひたちなか市が「湊鉄道対策協議会」を立ち上げ、維持存続策や利用促進策、財政支援策の協議を開始したことに始まる。そこに沿線住民の有志が加わり、“応援団”へと発展した。

 活動内容は多岐にわたるが、利用者に広く知られているのが「湊線乗車特典サービス券」(乗車証明書)の配布だ。那珂湊駅などで入手できる、水戸黄門の印籠を模したカードである。

 これを「湊線応援店」で提示すると、割引などの特典が受けられる。応援店は、無料配布されている「みなとまちなか漫遊MAP」で確認できる。参加店舗は多く、地域への浸透ぶりがうかがえる。


みなとまちなか漫遊MAPは那珂湊駅にも掲出されていた

 このように応援団の活動は、日々の利用促進にとどまらない。地域経済界とも連携しながら、将来的には国営ひたち海浜公園方面への路線延伸構想の実現も視野に入れている。

 計画では、阿字ヶ浦駅から同公園南口、さらに西口方面へと段階的に新線を整備する構想で、2026年度からは詳細設計や地質調査に着手する予定だという。延伸が実現すれば、観光需要のさらなる取り込みも期待できるだろう。


阿字ヶ浦駅の終端部。車両は保存車。延伸工事はまだ始まっていなかった

著者紹介:土屋武之(つちや・たけゆき)

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1965年、大阪府豊中市生まれ。鉄道ライター。鉄道系WEB雑誌『T's Express』編集長。幼少時より鉄道に興味を抱く。大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。芸術や評論を学ぶ。出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌『鉄道ジャーナル』のメイン記事を毎号担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。主な著書は『鉄路の行間』(幻戯書房)、『新きっぷのルール ハンドブック』(実業之日本社)など。


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