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飲食店の「仕込み代行」で売上高21.5億円 “倒産1000件時代”に急成長する企業とは?(4/5 ページ)

2025年、飲食店の倒産件数が1000件を突破した。そんな中、飲食店の「仕込み代行」ビジネスで急成長している企業がいる。シコメルフードテックの川本傑社長に話を聞いた。

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コロナが収束 飛ぶ鳥落とす勢いで成長

 2023年にはコロナ禍が収束し、徐々にイートイン業態の飲食店が営業を再開。同時にシコメルを利用したいという問い合わせも増えていき、同年の売上高は9億円に上った。

 「現在の成約率は5割程度」とのことだが、どのような流れで飲食店をサポートしているのか。

 「打ち合わせを経て、飲食店から仕込みを依頼したい料理のレシピをお預かりします。その後、自社キッチンで試作を重ねながら、工場での製造に適したレシピへと落とし込んでいきます。というのも、工場では製造ラインの仕様が異なり、火の入れ方もスチーム加熱を使ったり、大型の窯で熱を入れながら混ぜたりと、一般的な飲食店の調理環境と異なるからです」


シコメルフードテックの自社キッチンで工場での製造に適したレシピに落とし込んでいく(画像:シコメルフードテック提供)

 工場用のレシピで作った料理やタレなどを店舗側に試食してもらい、2〜3回のフィードバックと試作を繰り返す。店と遜色(そんしょく)ないクオリティーであれば成約となるケースが多い。提携している200以上の食品工場の中から、最適な工場に製造を委託。レシピ完成から初回納品まで平均60日というスケジュール感だ。

 成約に至らないケースとしては味や食感、価格、ロットが見合わない場合が挙げられる。中でも食感や価格へのフィードバックが多い。シコメルは基本的に冷凍での納品となるため、商品によっては店での出来立てと同じ食感を出すのが難しいものもある。

 例えば、こんにゃくは冷凍耐性が低い食材のため、それを含む「もつ煮込み」などのメニューは苦戦する。そういった場合は「こんにゃくは仕込みに入れずに後乗せしましょう」といった提案をしている。

 価格においては、シコメルが仲介として入ることで「30〜40%が材料費に乗る計算」(川本氏)になる。飲食店側は人件費や仕込みのストレスといった、金銭的・時間的・精神的コストなどを考慮して導入を判断する。

仕込み済み商品の鴨メンチのタネ(左)、仕込み済み商品を使用している鴨メンチカツ(画像:シコメルフードテック提供)

 現在は5割程度の成約率を誇るが、以前はそこまで高くなかった。ここまで改善できた理由として、川本氏は2つの理由を挙げる。

 「案件を数多く回していく中で、『これは受注につながる』『これは失注しそうだ』という傾向が次第に見えてきました。当社でいうと、定番料理の肉系食材が強くて、他にはスープやタレなども得意です。一方で、カット野菜や冷凍シーフードなどは、当社より商社さんから一気に仕入れた方が効率的です。また、一定以上のロットが確保できなければ、工場側としても1ラインを動かす判断が難しいという現実があります。そうした製造側の条件も踏まえながら、営業段階での見極めや提案内容を磨き込んでいます」

 シコメルがターゲットとしている飲食店の客単価は4000〜1万円のラインで、5〜300店舗と複数展開している飲食店での導入が多い。客単価が1万円を超える店だと、1〜2店舗展開が多く、ロットの問題で工場製造とは相性が悪い。

 シコメルを導入している店舗では、どのようにシコメルに依頼する仕込み済み食材を決めているのか。川本氏は「ABC分析」という考え方を例に説明した。

 「その店舗の中で売り上げが高い商品順でランキングを作ります。Aに当たるトップ3は看板商品、私たちが取りに行くのはBに当たる4〜10位の準定番商品といわれる商品群です」


飲食店で使われるABC分析を基に提案する(画像:シコメルフードテック提供)

 なぜ、準定番商品を狙うのか。川本氏は「トップ3の看板商品に魂を込めてほしいんです。店の人気商品であるため、調理シーンや演出含めて大事になってきます」と話す。準定番商品の中には、サイドメニューなど注文量が多いわりに仕込みの負荷が高い料理も少なくない。そこの仕込みの手間を削減することで、定番商品に時間や労力を割いてもらいたいというわけだ。

 実際、シコメルを導入したことで人件費削減に成功している店舗も多い。博多の食材を使った串焼きを提供する居酒屋では、肉串の仕込みをシコメルに依頼。月の人件費を20万円削減することに成功した。

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