売上8割減の崖っぷち運送会社が見つけた、大手もレンタカーも手を出せない「空白地帯」を埋めるサービス(4/5 ページ)
大手の運送会社に依存していたことから、売り上げの8割を失ったハーツ。さまざまな試行錯誤を経てたどり着いた、大手もレンタカーも手を出せない「空白地帯」を埋めるサービスとは?
「こういうサービスを待っていた」
2006年8月、専用のWebサイトの立ち上げとともに「レントラ便」は始動した。初月から舞い込んだ6件の依頼の中に、サービスの可能性を確信する出会いがあった。大型客船「飛鳥II」に積まれている荷物を数百メートル先の税関まで運ぶためにトラックで十数回往復してほしいという依頼だった。依頼主から「こういうサービスを待っていた」と言葉をかけられた。
さらに同時期、大手化粧品会社からもプレゼン用機材の運搬依頼が入る。この担当者からも「待っていた」という言葉をかけられたとき、山口氏は「このサービスはいける」と確信した。
「これでダメなら心中しよう」と覚悟を決めて臨んだ新事業だ。当時、大手運送会社は時間制の柔軟な配送パッケージを持っておらず、レンタカーとも引っ越しとも異なる独自の領域には、競合が存在しない世界が広がっていた。
価格設定は、下請け時代の相場観をベースに「1台が1日に何回稼働できるか」を踏まえて算出した。当初は半日・1日単位だったが、現場のニーズを即座に反映し、後に「30分単位」という細やかな設定へと進化させていく。
立ち上げ2カ月目、依頼件数は初月の4倍となる24件に急増した。依頼を呼び込んだのは、当時まだ運送業界では先駆けだったWebマーケティングだ。リスティング広告にいち早く踏み出したことが奏功した。NTTドコモの「iメニュー」公式Webサイトへの登録など、運送業界でいち早くモバイル広告に挑戦した。
一方で、独自のビジネスモデルゆえに懸念されたのは他社による模倣だ。山口氏は防波堤を築くため、ITの仕組みを組み合わせたビジネスモデル特許の出願に奔走する。
結果的に特許取得には至らなかったものの、公式Webサイトに記載した「特許出願中」というステータスが競合への強力な抑止力となった。合わせて10以上の商標登録を行い、大手による類似名称の使用にも毅然と対応。知財戦略によって、自社のポジションを死守していった。
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