三井住友「Olive」はどこまで広がるか “ナンバーワン連合”で狙う1200万口座:「ポイント経済圏」定点観測(3/3 ページ)
アカウント数700万を突破したSMBCグループの金融アプリ「Olive」。2027年度末の1200万口座を目標に、PayPayやマネーフォワード、SBI証券などナンバーワン企業と連携し、若者中心のサービスから全世代の生活インフラへと守備範囲を広げている。
なぜ「連合」なのか
Oliveは当初から、各分野のナンバーワン企業と組むことで経済圏を構築する路線を掲げてきた。4年目に入り、連携先はPayPay、マネーフォワード、SBI証券、ソフトバンクと、さらに厚みを増している。伊藤本部長は「さまざまなナンバーワン企業と組んで、サービスを提供していく」と改めて強調した。このアプローチの意味は、競合の動きと並べてみるとより鮮明になる。
楽天グループは経済圏競争の先駆者だ。楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天ペイ、楽天モバイルと、決済から通信まで自グループ内に垂直統合する路線を長年にわたって貫いてきた。
NTTドコモは近年、M&Aで急速に金融のピースを埋めている。2024年にマネックス証券を連結子会社化し、2025年には住信SBIネット銀行を約4200億円で買収して銀行業に本格参入した。dカード、d払いの決済基盤に証券と銀行を加え、かつての「金融の出遅れ組」から一転、自前の金融エコシステムを急ピッチで構築しつつある。
Oliveが連携するPayPayの陣営も着実に足場を固めている。PayPay銀行は口座数900万を突破し、PayPay証券もPayPayアプリを入り口に口座数を急速に伸ばした。QRコード決済を起点に、銀行・証券へと領域を広げる構図だ。
各陣営がそれぞれのやり方で決済・銀行・証券の「三点セット」をそろえようとする中、Oliveが一貫して取ってきたのは異なるアプローチである。自前で経済圏を閉じるのではなく、各分野のトッププレイヤーと水平に手を組み、Olive自身はそれらをつなぐハブに徹する戦略だ。
発表会では新CMもお披露目された。左からお笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏さん、吉高由里子さん、“PayPayの人“宮川大輔さん。吉高さんとダイアン津田さんは「Oliveの人〜スマホ」篇と「Oliveの人〜PayPay」篇に出演する(撮影・筆者)
もっとも、リスクもある。自前で持たない以上、パートナーとの関係次第でサービスの質や継続性が左右される。PayPayとの排他的な優遇関係がいつまで続くか、マネーフォワードとの資本業務提携がどこまで深化するか。この連合の強さは、結束の持続性にかかっている。
OliveアプリへのPayPay搭載は現在開発中だ。垂直統合か、それとも水平連合か。メガバンク発の金融アプリが貫くこの路線の真価が問われるのは、まさにこれからである。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
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