「面積は半分」「書類6割減」を実現 東洋エンジニアリング「オフィス変革」の全容(3/3 ページ)
東洋エンジニアリングは2024年12月、千葉市の幕張テクニカルセンター内に本社を移転した。事業構造の転換と人材戦略を背景に設計された新オフィスの狙いと取り組みについて、同社に話を聞いた。
書類65%削減 移転で進めたペーパーレス化
また、移転を進める上で大きな課題だったのが、紙の書類だった。
設計業務を担う同社では、図面をはじめとする多くの書類が存在していた。旧オフィスは現在の倍以上の広さがあり、書類の保管スペースが多くを占めていたという。設計業務のデジタル化は、旧オフィス時代から進めてはいたが、過去の書類は残ったままだった。
そこで移転に合わせて書類整理を実施した。不要な資料は約65%を廃棄し、一部は電子化、残りは3年という期限を設けて外部倉庫に保管する。
さらに、移転のタイミングで経理システムも刷新し、紙の伝票を減らした。バックオフィス業務も含めてペーパーレス化を進めた形だ。また、新オフィスでは執務室の各席に外付けモニターを設置し、印刷物を減らす工夫も施している。
その結果、移転後は紙ごみの量が以前の3分の1程度に減ったという。
フロアアンバサダー制度で続くオフィス改善
移転から1年あまりが経ち、社員の反応も見えてきた。
グループアドレスへの移行は比較的スムーズに進み、離席時にデスクの上に書類や記憶媒体などの物を置かないクリアデスクも習慣化したという。また、オープンな打ち合わせスペースは「すぐに議論できる」と好評だ。エンゲージメント調査でも、職場設備に関する評価は移転前より向上した。
移転を機に、働き方の面でも新たな取り組みを進めた。その一つが服装の自由化だ。来客対応などのTPOを踏まえつつ、社員が自分で適切な服装を判断することを基本とした。夏場はTシャツも認めるなど、旧オフィス時代の“オフィスカジュアル”から、より柔軟なルールに変更している。
同社では1990年代からフレックスタイム制を導入するなど、社員が自律的に働くことを重視してきた。高橋さんは「服装も自分で考えて決めることの一つ。自律的に判断する力を養う意味もある」と話す。
オフィス移転も社員が自ら考え、主体的に働く環境作りの一環。実際、新オフィスでは、社員が業務に応じて場所を選び、働き方を組み立てることが求められるようになった。
運用面では継続的な改善にも取り組んでいる。フロアごとに「フロアアンバサダー」と呼ばれる社員を任命し、月1回集まってオフィスの使い勝手や課題について意見を交換。現場の声を集めながら、ルールの見直しや環境改善を進めているという。
一方で、課題もある。グループアドレスを採用したことにより、同フロア内で働く部署間のコミュニケーションは活発化したが、フロアを越えた交流はまだ十分とは言えないという。
今後は、イベントや仕組みなどを通じて、部門を越えた交流をさらに促していく考えだ。高橋さんは「社員が自律的に動きながら、新しい価値を生み出していける環境を今後も大切にしていきたい」と話す。
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