大成建設、転勤手当に最大100万円 経営幹部が現場を回って得た“気付き”とは(1/3 ページ)
大成建設は2025年7月、転居を伴う異動に対して最大100万円を支給する制度を新設した。制度新設の背景には、経営幹部が全国を回る中で得たある気付きがあった。制度の詳細や社員の反応を、同社に聞いた。
近年、共働き世帯の増加や働き方の多様化により、転勤に対する心理的ハードルが高まっています。東京商工リサーチが実施した調査によれば、直近3年間で転勤が理由の退職があった企業は30.1%でした。大企業では38.0%と、拠点の数が多くなる傾向にあるほど高くなっています。
全国に拠点を持つ企業では、転勤は事業継続に不可欠な要素です。そうした中、大成建設は2025年7月、転居を伴う異動に対して最大100万円を支給する制度を新設しました。
背景には、経営幹部が各地の支店を回り、現場を見たことで生まれた気付きがありました。制度導入から約8カ月。制度の詳細や社員の反応を、大成建設 管理本部 人事部 計画室の北村雅哉計画室長、緒方文香氏、泉谷諒氏に聞きました。
なぜ転勤が必要なのか
井上: 2025年7月に新設された転勤手当は、具体的にどのような制度なのでしょうか。
北村氏: 転勤手当は転居を伴う転勤が発生した際、その都度支給する一時金です。従来からある、引越しにかかる実費をカバーする「赴任手当」とは別に支給します。金額は「移動距離」と「家族帯同の有無」によって変動し、最大100万円で設定しています。
引越しの準備には時間がかかりますし、子どもがいる場合は転校の手続きなど、目に見えない手間や心理的な負担もあります。そういった部分を会社として支援するために新設しました。
井上: 転勤は事業継続に不可欠であると同時に、社員のキャリア形成においても重要な転機になる面もあります。貴社は転勤をどのように捉えていますか。
北村氏: 当社は全国各地で建設作業全般を請け負っているため、一定の転勤は避けて通れません。ライフスタイルに合わせて転勤範囲を限定する制度を設けていますが、事務系、技術系といった職種を問わず、全社員に転勤の可能性があります。
転勤によるさまざまな経験は、社員の成長にも貢献していると考えています。技術系の場合、コンクリートを打つにしても、北海道の寒い土地と沖縄の暑い土地では、それぞれ求められる技術的配慮が異なります。
また、地域によって職人の気質や竣工式の文化もさまざまです。そういった地域に沿ったマネジメントを学ぶことは大きな経験になります。このように、転勤を通じて新たなスキルや経験を習得してほしいと考えています。
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