大成建設、転勤手当に最大100万円 経営幹部が現場を回って得た“気付き”とは(2/3 ページ)
大成建設は2025年7月、転居を伴う異動に対して最大100万円を支給する制度を新設した。制度新設の背景には、経営幹部が全国を回る中で得たある気付きがあった。制度の詳細や社員の反応を、同社に聞いた。
経営幹部が全国を回って気付いたこと
井上: 最大100万円という手厚い金額設定の裏には、どのような議論があったのでしょうか。
北村氏: 転勤手当は、もともと人事部から提案したものでした。ですが、最終的な支給額は、経営幹部が全国の現場を回って社員と対話する意見交換会の内容も踏まえて決めました。
当社では2021年頃から風土改革の一環として、経営幹部が全国の支店を回って社員と意見交換をする取り組みを実施しています。そこで「子どもの転校や家族帯同者の仕事を考慮すると、転勤の負担が大きい」といった声もあがっていました。
そうした中、ある経営幹部が、山の上の現場で働く社員と接する機会がありました。ふもとから毎日山の上の現場に通うのは大変なため「こうした社員を支えるためにも、近くに家族がいて、ともに生活できる環境を整えた方が良いだろう。その方が家族も安心できるはずだ」と感じたことで、特に「家族帯同者を手厚く支援したい」という考えが反映されました。
もちろん大前提として「その転勤が本当に必要か」という慎重な検討は欠かせません。しかし「必要不可欠な転勤であれば手厚くサポートしたい」という経営幹部の思いが、最大100万円という思い切った金額設定につながりました。
井上: 多額の予算を確保するとなると、社内調整で苦労するケースもあります。
緒方氏: 意外かもしれませんが、社内調整で苦労した点はほとんどありませんでした。
北村氏: 当社の中期経営計画では、経営の基本方針を3つ掲げており、そのうちの一つが人的資本への投資です。人材が経営の源泉であり、持続的な成長を支えるために人的資本への投資を拡充していく方針を定めています。この方針のもと、新人事制度を策定し、2025年度から実施しています。
緒方氏: 転勤手当も新人事制度の一つです。あらかじめ設定された人的資本への投資予算の中で、他の施策とのバランスを考慮しながら金額を決定しました。
北村氏: 社員への還元はコストではなく、投資という考え方が浸透していたことが、スムーズな金額設定に寄与しました。
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