中間管理職は「中間経営職」へ AI時代、ホワイトカラーに問われる「役割再定義」(3/3 ページ)
生成AIの登場で企業の雇用と仕事のあり方が変わり始めている。活用の広がりを背景に、人員削減に踏み切る企業も出てきた。こうした中で、人が担う役割はどのように変化するのか。その実態に迫る。
AIに慎重な日本 不安の正体と求められる力
生成AIによる変化を、日本の就業者はどのように受け止めているのだろうか。
人材サービスのインディードリクルートパートナーズ(東京都千代田区)が主要国の就業観を調べた「グローバル就業意識調査2025」の結果をみてみよう。
生成AIに代表されるテクノロジーの進化が自分の仕事にとって「望ましい」とした人の割合は、日本は27.4%にとどまる。これは米国(47.3%)、中国(78.4%)、英国(47.4%)、フランス(38.6%)、ドイツ(42.3%)を含めた計6カ国の中で、最下位だった。
一方で、日本は「望ましくない」の割合が19.1%で中国に次いで低かったが「どちらともいえない」とした人は53.5%で突出して高かった。「望ましくない」と答えた理由としては「自分が現在持っているスキルが不要になると感じるから」「テクノロジーの進化に適応できる自信がないから」が多い。同社の高田悠矢特任研究員の分析によると、日本は他国と比べ、自身の雇用に対する不安が上位に挙がっている点が特徴的だという。
AI時代に求められるスキルを巡っては、これまで必要とされてきた知識や技能がいらなくなるわけではないという意見もある。
多くの企業再建に関わってきた実績がある日本共創プラットフォーム(JPiX)の冨山和彦会長は、近著『日本経済AI成長戦略』(松尾豊監修、文藝春秋)の中で、例えば本人が簿記、会計やスプレッドシートなどの基本構造を分からずに、財務分析をAIに任せることは極めて危険だと指摘する。基礎知識がなければ生成AIに的確なプロンプト(指示)を出せず、有益なアウトプット(回答)を得られるはずがないからだ。
加えて生成AIを最善の判断につなげるには、自分が受け持っている事業を取り巻く環境を多面的に分析する力が欠かせない。実際のビジネスで揉まれてきた経験がモノを言う。組織のメンバーとのコミュニケーション能力も問われる。
生成AIの普及は個人にチャンスをもたらす一方、変化に対応できる人とできない人の差も広げる。日本の雇用社会は転換点を迎えている。
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