30代後半は「捨て駒」なのか? 新卒&シニアへの大盤振る舞いの陰で広がる「働き盛り」の絶望感の正体:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/4 ページ)
今年の春闘では新卒初任給アップやシニアの待遇改善といった動きが目立ちました。そんな中、働き盛りであるダブル氷河期世代へは目は向けられていません。
「働き盛り」を大切にするメリット
いずれにせよ、30代後半への投資を怠ることは、10年後の管理職不在、20年後の技術断絶を、今この瞬間に「予約」することと同義です。彼らが生活の不安を感じることなく、その卓越したスキルを最大限に発揮できるだけの「正当な対価」と「成長の機会」を今すぐ用意すべきです。
むろん、若手への期待も、シニアへの配慮も重要でしょう。しかし、30代後半は「静かな昇進」の被害者でもあります(参考記事:給与上がらず、責任と仕事だけが増加 「静かな昇進」をさせる“危険な職場”の大問題)。
賃上げバブルの喧騒の中で、今、最も耳を傾けるべきは、現場で黙々と汗を流す30代の働き盛りです。この層に報いることは、20代社員のモチベーションにもつながります。
階層組織はいつだって、上から見下ろすより、下から見上げた方が良く見えるもの。
若手は、30代の背中に自らの未来を重ねています。彼らが誇りを持って汗を流せる場を用意すること。それこそが、今、組織にとって最優先の「仕事」ではないでしょうか。
河合薫氏のプロフィール:
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)、『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか - 中年以降のキャリア論 -』(ワニブックスPLUS新書)、『働かないニッポン』 (日経プレミアシリーズ) 、『伝えてスッキリ! 魔法の言葉』(きずな出版)など。
新刊『「老害」と呼ばれたくない私たち 大人が尊重されない時代のミドル社員の新しい働き方』(日経BP 日本経済新聞出版)発売中。
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