なぜ「ヤマザキ春のパン祭り」は続くのか 5億枚超の「白い皿」を生んだ、日常に入り込む体験設計:グッドパッチとUXの話をしようか(1/4 ページ)
45年続く、ヤマザキ春のパン祭り。景品としてもらえる「白い皿」の交換枚数は2025年時点で5億9000万枚を超えた。なぜ、こんなにも長く続くのか?
連載:グッドパッチとUXの話をしようか
「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。
毎年春になると始まる恒例行事、ヤマザキ製パンの「春のパン祭り」。
スーパーやコンビニでパンを買うと、パッケージに小さな点数シールがついている。台紙に貼っていくと、30点で白い皿がもらえる。仕組みとしてはとてもシンプルです。
積極的に参加しているつもりはなくても、なんとなくシールを集めていた。そんな経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
このキャンペーンは1981年に始まり、累計の交換枚数は2025年に5億9000万枚を超えました。日本の人口を大きく上回る数の皿が、家庭の食卓に並んでいることを意味します。いまや春の風物詩とも言える存在です。
風物詩といえば、花見や紅葉狩りといった季節のイベントを思い浮かべる人も多いでしょう。気が付けば毎年同じ時期にやってくるもの――。春のパン祭りも、どこかそれに近い存在になっているように思えます。
しかし、その佇(たたず)まいは、いわゆる「キャンペーン」にしてはどこか不思議です。豪華な景品が当たるわけでもなく、SNSで大きな話題をさらうような派手さがあるわけでもない。それでも春になると自然と目に入り、毎年当たり前のように続いています。
今さら考えるまでもない、定番化したこのキャンペーン。今回は改めて、なぜこの春のパン祭りが広く、長く、多くの人たちに定着してきたのか。UXの切り口から考えてみたいと思います。
そのヒントは、一見「特別ではないもの」を丁寧につないでいる点にありそうです。
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