麻辣湯ブームは、そもそも誰が仕掛けたのか 日本発か中国発か、その真相:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
タピオカ、高級食パン、唐揚げなどに続く「食のブーム」として、昨今話題になっている「麻辣湯」。若い女性を中心に人気を広げているようだが、このブームはどこから起きたのか。
麻辣湯ブームが示しているもの
われわれは何かしらの「食のブーム」が起きると、誰かしらの日本人や日本企業が仕掛け人として暗躍していると思いがちだ。日本発のブームなのだから当然である。しかし、もはやそうした時代ではないことを今回の「麻辣湯ブーム」は示している。
日本のグローバル外食チェーンが中国進出を加速させる一方で、それに呼応するように中国の外食チェーンも日本進出を強めていく。その動きを敏感に察知した日本国内の外食チェーンも追随し、出店を加速させる。こうして多様なプレーヤーが複雑に入り組みながら、国境を越えて競争するのが今の外食ビジネスなのだ。
それを象徴するのが、新宿・歌舞伎町にある24時間営業の居酒屋「よいもど」だ。おしゃれな内装で、刺身や焼き鳥をリーズナブルな価格で提供するこの店は、大手口コミサイトで「歌舞伎町の良心」などと高く評価されている。
そう聞くと、「そうそう、安くてうまいのが日本の外食のスゴいところなんだよ」と誇らしく感じる人も多いだろうが、実はこの店は、中国の大手外食チェーン「海底撈」(ハイディラオ)が運営している。
ここは「海底撈火鍋」(カイテイロウヒナべ)という火鍋レストランを、中国、シンガポール、米国、韓国、日本、カナダ、オーストラリア、英国など、16以上の国や地域で1500店舗以上を展開しているのだが、2025年からは「日式居酒屋」の「よいもど」をオープンしたのだ。
日本の大手チェーンが運営するイタリアンや中華料理が既にちまたにあふれているように、これからは中国の大手チェーンが運営する日本食レストランなどもたくさん増えてくる。つまり、これからは「食のブーム」を仕掛けるプレーヤーも、どんどん国境がなくなっていくということだ。
「安くてうまい! やっぱ日本の食はサイコー!」と大喜びで食べているその食事の原材料が、実は中国産なんて話はよくあるが、これからは、食事をする店もブームも、裏で中国大手チェーンが仕掛けていた、ということも珍しくなくなるかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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