ヴィレヴァン本店閉店は「衰退」なのか “ゴチャゴチャ”の価値が変わった背景(3/6 ページ)
ヴィレッジヴァンガードの本店が閉店する。理由は施設の老朽化だが、背景に何があるのか。チェーンストア研究家の谷頭和希氏が分析する。
「偶然の出会い」は、もはや希少ではない
ヴィレヴァンの魅力が低下した理由には、消費者にとって「ヴィレヴァンで偶然何かに出会うこと」の価値が、以前ほど特別でなくなったことにあるのではないか。私は、そう考えている。
そもそも、ヴィレヴァンの魅力とは何だったのか。あの店を特徴づけていたのは、いわゆる「ゴチャゴチャした陳列」である。曲がった通路、雑多に置かれた商品、視界を埋めるPOPや値札。その中を歩いているうちに、もともと買うつもりのなかった商品に出会ってしまう。その「偶然の出会い」こそが、ヴィレヴァンの面白さの一つだった。
一見すると不便に見えるあの売り場は、実のところ、かなり精巧に設計された空間でもある。目的に向かって効率よく買い物をさせるのではなく、思わぬ商品を見つけさせて客の足を止め、「衝動買い」を促す。それが、店舗全体の価値にもつながっていた。
しかし、その強みは、いまや以前ほど特別なものではなくなっている。
かつて、未知の面白いものに出会うには、リアルな空間を歩く必要があった。だが現在、その役割のかなりの部分を担っているのは、TikTokやInstagramのようなレコメンド型プラットフォームであり、生成AIもまた、興味関心に沿った情報探索を強く後押ししている。
ユーザーが何を見て、どこで止まり、何に反応したかをもとに、次に見せるコンテンツが絶えず調整されている。かつてリアルの売り場が担っていた「発見」の機能を、アルゴリズムが先回りして肩代わりするようになったのである。
この消費者側の変化が、先に述べた人材育成や売り場づくりの停滞と重なったとき、ヴィレヴァンの魅力は大きく損なわれたのではないか。
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