なぜ「鰻の成瀬」は失速したのか 400店→270店、再建のカギはAIか職人か:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
約400店舗まで急拡大していた「鰻の成瀬」が、約270店舗まで減少している。復活に向けて、同チェーンが生き残る道とは……。
ウナギをよく食べる年齢層は
「ぐるなび」が2024年12月、20〜60代の会員1300人にウナギを食べる頻度を聞いたところ、最多は「半年に1回くらい」(38.6%)で、次が「年に1回くらい」(25.5%)だった。60代になると「2〜3カ月に1回」「月に1回以上」の合計が35.9%と、他の世代に比べて頻度が高い。
つまり、年に1回程度の頻度で食べられることが多いウナギ業態のチェーンが急成長できたのは、このような「2〜3カ月に1回」「月に1回以上」のウナギ好きのシニア層をしっかりとつかんでいたからなのだ。
先日、近所の「鰻の成瀬」に行ってみたが、店内には50代の筆者よりも年上の客が多く見られた。ただ、いくらウナギ好きのシニアでも月1回以上食べる人は先ほどの調査でも5%しかいない。地道にファンを広げていかなければいけないところを、「鰻の成瀬」は2年で400店舗とあまりに事を急いだ。シニアもついていけないし、ファンもできていないのだから、大量閉店に追い込まれるのも無理はない。
そこで「うなぎ居酒屋」という選択肢が浮上する。店のハードルはグーンと下がるのでシニアだけでなく、仕事帰りのサラリーマンや若者も足を運ぶようになる。そこで「ウナギのおつまみ」でファンになればリピーターになり、居酒屋業態だけではなく従来の「鰻の成瀬」へ誘客できるかもしれない。
一方で、このような「居酒屋路線」はフランチャイズオーナーの不満が高まり、大量離反を招く恐れもある。「鰻の成瀬」が一時期400店舗まで拡大したのは、この店が「飲食の経験ゼロでも少ない費用で気軽に始められる」という大きな強みがあったからだ。
多くのフランチャイズオーナーは、専用のスチームコンベクションオーブンのボタンを押せば、それなりにおいしいウナギを提供でき、厨房の調理スタッフなど、人件費を抑えられる。この業態に魅力を感じてオーナーをやっているので、今さら居酒屋業態などやれる自信もないし、やりたくもないのだ。
実際、甘くはない。うなぎのファストフードチェーンとして知られる「名代 宇奈とと」も、2024年12月に居酒屋業態「名代 うなまる酒場」をスタート。創業の地・新橋にオープンしたが、わずか1年で閉店に追い込まれている。
そうなるとやはり最も可能性が大きいのは、現状の「鰻の成瀬」をさらに進化させていく方向だ。では、どうやって進化させるのかというところで、今回買収した企業が掲げているキーワードが重要になってくる。
そう、「AI」である。
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