なぜ「鰻の成瀬」は失速したのか 400店→270店、再建のカギはAIか職人か:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
約400店舗まで急拡大していた「鰻の成瀬」が、約270店舗まで減少している。復活に向けて、同チェーンが生き残る道とは……。
急速に広まる「フィジカルAI」
ご存じのように今、現実世界で実際に動くAI、つまり「フィジカルAI」が急速に産業界に広まっている。それは外食の厨房でも同様だ。
有名なところでは「大阪王将」の「I-Robo(アイロボ)」。これは同チェーンの中で十数人しかいない職人技を学んだ調理ロボットで、材料を機械に入れてボタン操作をすると、熟練の職人が作ったようなパラパラのチャーハンや、野菜炒めを再現できる。
そんな調理ロボは今、「焼き」の分野にも進出しており、韓国ではサムギョプサルを絶妙な火加減で焼き上げるロボットも登場している。
こうした大きな潮流の中で、不振の「鰻の成瀬」を買収した会社が「フランチャイズ×AI・DXによる高成長モデルの確立」で収益向上を目指すと言っている。となれば「AIによるウナギ調理」を思い浮かべるのは当然ではないか。
しかも、AIフュージョンキャピタルグループに買収される前から「鰻の成瀬」を運営するフランチャイズビジネスインキュベーションは、「外食AI」を進めていた企業として知られる。2025年8月、飲食業を営みながら動画を作成して情報発信することが難しいということで、AIを駆使した動画制作サービスを開発しているのだ。
公式Webサイトには「3周年創業祭」や「清らかな水に育まれ、日々の丁寧な管理で育まれたウナギ。安心、安全、そして高品質をお手軽に。」というAIで作成された「鰻の成瀬」のプロモーションビデオが、サンプルとして紹介されている。ちなみに、プレスリリースによれば、15秒動画の価格は1本15万円から40万円だという。
このように、もともとAI活用を積極的に進めていた「鰻の成瀬」を「AI・DXによる業務効率化」に強みを持つ会社が立て直すとなれば、やはり成長の原動力だった「厨房の調理オペレーションの簡略化」をさらにブラッシュアップするしかないのではないか。
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