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日高屋なぜ騒動に? 社長発言から見えた「日本人がすぐ辞める」外食の現実スピン経済の歩き方(5/6 ページ)

日高屋の青野敬成社長による発言と、その後の公式Xでの謝罪文が話題になっている。なぜ日高屋は詳細な説明をしなかったのか。その理由は……。

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日本人新卒と特定技能外国人の目的の違い

 よく言われるのは「ハードな割に給料が安い」という話だ。ハイデイ日高は「分かち合う資本主義」と呼ばれるような待遇の良さが特徴で、新卒初任給は28万円に引き上げられている。しかし、それでも日本経済新聞の会社情報を見ると平均年収523万円で、コメダHD(1075万円)、トリドールHD(812万円)、すかいらーくHD(734万円)とは大きな開きがある。


ハイデイ日高の初任給や平均年収※2025年4月時点(出典:日本経済新聞

 そして、今の若者が離職する最大の理由といわれる「成長が実感できない」というのも耳の痛いところでもある。日高屋は465店舗で、全て同じ味とサービスを提供するために、埼玉県行田市のセントラルキッチンで食材の加工・調理を一括して行い、それを各店舗に配送している。現場での配膳など、あらゆる業務が細かくマニュアル化されている。これを研修で叩き込まれる。

 このような完成されたシステムによって均一な味が楽しめるのは、消費者にとってはありがたい話だ。しかし、外食の世界で「成長」して、いずれ大きく羽ばたきたい志を持つ新卒の若者たちからすれば、ちょっと物足りなく感じるのは言うまでもない。

 日高屋でキャリアを積んで店長になっても、セントラルキッチン方式のため、調理の専門性は身につきにくい。店舗運営も、あくまで日高屋のマニュアルに沿った実践なので、転職先や独立した際には応用しづらい。

 日高屋は業績や店舗数が右肩上がりで増えている「成長企業」であり、その原動力は「徹底した業務の標準化」である。もちろん、それはそれで立派なビジネスモデルではあるのだが、その中でマニュアル順守する人が自身の「成長」を実感できるのかというと、それはまた別の話だ。企業の成長と社員の成長は、必ずしもイコールではないのだ。


大炎上を回避した日高屋(出典:編集部)

 もし何かのきっかけで「なぜ日本の外食チェーンには若者が定着しないのか」という議論が盛り上がってしまうと、このような耳の痛い話が山ほど出てきて収拾がつかなくなってしまう。言うなれば、「パンドラの箱」を開けてしまうようなものだ。

 だから、日高屋の謝罪文ではそういうリスクを一切排除した。「ゼロ回答」で世間から叩かれたとしても、競合他社と比べた待遇や労働環境、マニュアル文化についてあれこれ詮索されるよりもマシだと判断したのである。

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