東京を選ばず、海外に4店舗展開 名古屋の老舗「みそ煮込みうどん店」はなぜ受け入れられた?(2/4 ページ)
1925年に名古屋で創業した、みそ煮込みうどん店「大久手山本屋」。国内ではなく、海外に4店舗展開しているのだが、なぜ海外展開を選んだのか。なぜ、みそ煮込みうどんは受け入れられたのか?
ハラール対応 先代や職人の理解をどう得た?
経営が安定してきた2015年頃、青木氏はハラールと、ベジタリアン・ヴィーガンの人も安心して食べられるみそ煮込みうどんの開発に着手した。
「ムスリムは約20億人いると言われていて、その数は世界人口の約25%にあたります。ベジタリアン・ヴィーガンも増加傾向にあり、5億人を超えると言われています。この人たちが安心して食べられる商品を開発することが、海外進出する上でも必要だと考えました」
大久手山本屋では、もともと豚由来の食材を使わず、かつおベースのだしを用いていた。アルコールが含まれる調味料も使用していたが、不使用のものに変更が可能で、ハラール対応へのハードルは低かった。ハラールとそれ以外で調理器具を分けることも大きな負担ではない。最も難しかったのは、先代である父やうどん職人たちの理解を得ることだった。
「これまでの来店客のほとんどは日本人です。もちろん、ムスリムに対する差別の意識はまったくないのですが、知らないことが多いので漠然とした不安や恐れのような気持ちがあると感じていました」
そこから青木氏はユニークな行動に出た。先代や社内の従業員を連れて、名古屋にあるモスクを訪れたのだ。言葉で説得するのではなく、まずは知ってもらおうと考えた。モスクへの伝手はなかったが、1人で訪ねて事情を話したところ、喜んで協力してくれたという。
「東京と違って名古屋ではハラール対応の店が少なく、ムスリムの人たちは外食の選択肢がとても少ない。自炊するか、自国の料理を提供しているレストランに行くケースがほとんどです。日本食を食べたいと思っているはずなのに、食べられないことをあらためて実感しました」
モスクを訪ね、ハラール対応すると喜んでくれる人がいることが実感できたことで、先代や従業員の意識も変わっていった。
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