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東京を選ばず、海外に4店舗展開 名古屋の老舗「みそ煮込みうどん店」はなぜ受け入れられた?(4/4 ページ)

1925年に名古屋で創業した、みそ煮込みうどん店「大久手山本屋」。国内ではなく、海外に4店舗展開しているのだが、なぜ海外展開を選んだのか。なぜ、みそ煮込みうどんは受け入れられたのか?

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東京ではなく、世界へ 海外展開を加速させた香港1号店の成功

 大久手山本屋は、ハラールやベジタリアン・ヴィーガン対応を始めたのと同時期に、海外進出を見据えて、フランチャイズ展開にも着手していた。

 足がかりとなったのは、香港でレストランを経営するビジネスパートナーとの出会いだった。そのパートナーを紹介してくれたのは、香港の商社で働く愛知県出身の日本人。「香港で、本場のみそ煮込みうどんが食べたい」という思いがあったという。

 そこから準備期間を経て、2023年7月に香港店をオープンさせた。1日の来店客は600人超。反響の大きさを実感し、数カ月後の同年11月に2号店もオープンした。1号店が人気になった理由を、青木氏は以下のように分析する。

 「香港店でこだわったのは、職人がうどんを打つ姿を店頭で見せることです。私と共に五代目を務める弟がそこで働いています。例えば『伝統あるイタリアのピザ店の五代目が、店頭でピザを作っている姿が見られる』と聞いたら、行ってみたくなりますよね。同じように、日本で100年続く店の五代目が自らうどんを打つ姿が見られることが、興味を引くのだと思います」


青木氏と共に五代目を務める、うどん職人の青木晃佑氏(写真:青木氏提供)

 注目すべきは、大久手山本屋が東京や大阪などに出店をせず、海外展開を積極的に進めていることだ。

 「10年ほど前は、東京で流行(はや)らなければ全国・海外展開は難しいというのが常識でした。でも今は、SNSで情報が世界中に届くので、東京に進出しなくても知名度を高められます。名古屋から世界に出ていく方が面白いですよね」

 店の反響が新たなビジネスパートナーとの出会いを生み、現在は韓国・ソウルと中国・深圳にも展開を広げ、2026年6月には台湾への出店も控えている。

 「台湾ではベジタリアンは14%ほどと言われています。10人いれば1〜2人はベジタリアンという計算です。そう考えると、ベジタリアンの人だけでなく、ベジタリアンの友人がいるグループにも利用されます」

 海外展開は、今後も積極的に進めていきたい考えだ。

 「国や地域によって、日本食への理解度には差があります。台湾や韓国、香港、ロサンゼルス、バンコク、シンガポールなどは理解度が高い地域です。一方で、日本食にあまりなじみのない国では、みそ煮込みうどん単体ではなく、寿司や天ぷらといった分かりやすいメニューと組み合わせて提供するのも一つの方法だと考えています。そうした工夫をすれば、どの国でも展開できる可能性があります」

 青木氏は未来の展望を楽しそうに話す。今の課題は、職人以外のマーケティングや広報を担う人材の不足だという。

 「愛知のみそ煮込みうどんを世界に届ける仲間を、もっと増やしていきたいです」

 取材が終わったのは昼時で、店内では海外からの観光客グループがみそ煮込みうどんを味わっていた。その光景からは、この店の挑戦がすでに世界へ広がり始めていることがうかがえる。世界各地で大久手山本屋の味が食べられる日も、そう遠くはないのかもしれない。


兄弟で五代目を務める。弟の晃佑氏(左)がうどん職人、兄の裕典氏(右)が経営全般と役割分担している(写真:青木氏提供)

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