「30歳以下の社員は2人」から一変 山口県の建設会社に「370人超の学生」から応募が殺到するワケ(2/3 ページ)
「若手が集まらない」「現場のノウハウが継承されない」――。建設業界が抱える課題を、老舗建設会社のコプロスは「人材獲得につながるDX」で突破。十数年で採用応募者数が370人を超える「若手に選ばれる企業」へと変化を遂げた。アナログな老舗企業を再生させた取り組みの裏側を追う。
施工管理の8割が「文系出身」 未経験者をプロに育てる
DXで社内の環境を整えるのと並行して、2014年から新卒採用をスタートした。
3K(きつい・汚い・危険)のイメージがある建設業に興味を持つ学生は多くない。そんな学生たちにアプローチするため、宮崎氏が心掛けているのが「企業風土や働く人の雰囲気」「デジタルの活用状況」を伝えることだ。企業文化への共感を得た後に業界理解を深めてもらう、「逆引き」のアプローチを採っている。
そのため、採用説明会に加えてSNSを積極的に活用し、企業風土や社員の人柄の発信に努めている。
また、一般的に建設業の施工管理職では、土木・建築学科をはじめとする理系の学生を採用するケースが主流だ。しかし、同社では文系人材も積極的に採用しており、施工管理職の約8割が文系出身だという。
専門知識ゼロの学生をプロの施工管理職へと育成するため、以下のような教育体制を整えている。これらの体制とデジタル化によるノウハウの可視化が「専門学科を出ていないから無理」という学生の心理的障壁を取り除いたことも、応募者増の一因となっている。
コプロシアン成長プログラム
人材育成において「何ができれば一人前か」という曖昧(あいまい)な基準を、5年間のロードマップとして明文化した。1年単位で習得すべきスキルや知識を整理し、最終的には「山口県内の3000万円規模の工事を一人で回せる」というゴールを設定。これにより、未経験者でも「今、自分は何を学ぶべきか」が明確になっている。
他社と共同で立ち上げた建設ナレッジシェアサービス「SCALE」
若手現場監督の活躍早期化を目的とし、現場のノウハウをシェアし合うナレッジプラットフォームを他社と協力して開設した。業務での困りごと、相談を投稿すると、それに対する解決策が集まる。過去の相談履歴を蓄積しているので、同じような困りごとが発生した際に検索するなど、データベースとしても活用できる。「自社の先輩には質問しにくい」といった内容も気軽に投稿できる。
資格を取得できる「下関トレーニングセンター」
建設現場で業務をするには、さまざまな資格が必要になる。従来、資格取得のためには、社外の教習所の講習スケジュールと自身の業務スケジュールを調整する必要があり、タイムロスが発生していた。そのため、同社は労働局から認可を受け、社内で有資格者が教えることで資格を付与できる社内学校を設立した。
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