「粘り強いね」と褒めたら部下の心が折れた…… Z世代離職を防ぐ“翻訳”マネジメント(2/3 ページ)
世代間における認識のズレ、言葉のズレ……この積み重ねは離職率の重大な増加につながる。今必要な「翻訳マネジメント」とは。
安定志向と成長実感を求めるZ世代
アプリ開発を手掛けるPHONE APPLI(東京都港区)が実施した2025年の調査では、上司との認識ギャップを感じている部下の58.1%が「自分の強みや貢献を、上司が十分に理解してくれていない」と回答しており、これが成長実感の欠如につながりやすい要因の一つとなっている。
リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2025」でも、Z世代は「成長」(35.1%)と「貢献」(23.8%)を仕事で重視する傾向が見られる。彼らにとって、安定を望みつつ、自身の貢献が正しく把握・評価されることは、持続可能なキャリアを築く上で重要な要素であると読み取れる。
終身雇用が当たり前ではなくなりつつある現在、仕事において自分のスキルを正確に把握し、磨き続けることは必須だ。若者世代は、それぞれが持つ固有スキルの向上と、そのスキルに対する正当な評価を求めている。
上司が「君ならできる」などとあいまいな評価でにごしたり、見当違いな解釈で評価したりすると、部下は反論も相談もせず、静かに心の距離を取り始める。
部下が上司に仕事の報告をする場面でも、すれ違いは起きうる。
上司が報告に求めるのは「どこまで進んだか(事実)」だが、部下は報告した上で「自分のやり方は期待通りか(意図)」を確認したいのだ。
世代間の溝は、いつの時代も深い
当然だが、歩み寄りは上司だけの義務ではない。部下にも「意図を積極的に言語化する努力」「上司の言葉に含まれるあいまいさを許容するしなやかさ」、そして自ら道を切り開く「自律した姿勢」が求められる。
一方で管理職自身も板挟みに苦しんでいる。経営層からは成果を強く求められる中、部下に対してはハラスメントへの配慮が求められ、「優しさと厳しさ」や「任せることと介入すること」の判断に迷いやすい。
人材育成事業を手掛けるアルー(東京都千代田区)の「管理職調査レポート2026」によると、管理職の65.2%がZ世代部下の育成方法に「確信が持てない」と回答しており、育成の難しさは個人の問題ではなく、この構造にあるといえる。
異なる世代同士がコミュニケーションを取る上で最も重要なことは、お互いの価値観を「異文化」として尊重することだ。
今の管理職世代が若者だったころ、上の世代から「新人類」と呼ばれ、理解不能な存在として扱われてきた歴史を思い出してほしい。世代間の溝は、いつの時代も、私たちが想像する以上に深い。
今のZ世代には、SNSやデジタルツールに慣れ親しんだ世代特有の「柔軟性」と「スピード感」がある。従来の方法にとらわれず、新しい方法を素早く試せるのはZ世代の強みだ。この強みを生かすことで、組織の生産性やイノベーションを大きく押し上げる可能性がある。
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