広告費ほぼ0円、なのに月10万DL 訪日客がこぞって利用する「Payke」はどんなサービスなのか?(3/5 ページ)
多くの訪日客が利用する、買い物が便利になるアプリ「Payke」。現在の広告費はほぼ0円にもかかわらず、毎月10万DL超を記録している。どのような需要をつかんでているのか?
「訪日客はちんすこうを買わない」 素朴な疑問が原点
Payke誕生のきっかけは、古田氏が沖縄の観光地で感じた素朴な疑問だった。
同氏は2013年に琉球大学に進学し、その直後にEC事業を立ち上げ、県内貿易商社と協業して中国向けの県産品輸出を始めた。「当時は日中関係の悪化で沖縄と中国の間の貿易がほぼストップしていたので、需要を見込み、中国人留学生と一緒に始めました」と振り返る。
当時、まだ19歳。目を見張るような行動力だが、「何かに熱中し始めると、1カ月くらい家から出ないような子どもだった」という。起業願望があったわけではないが、自身の興味や関心に従う中で、自然な流れで事業を興した。
その最中、県内の観光地などを行き交う外国人観光客を見て、ある事実に気づく。「日本人観光客の多くは、お土産にちんすこうや紅芋タルトを選んでいるのに、外国人客はほとんど買っていませんでした」。なぜか? 疑問を解消すべく、ある土産品店に足を運んだ。
そこで、外国人客に片言の英語で「なんで、ちんすこうは買わないの?」と聞いてみた。返ってきたのは「知らないから」という単純な答え。「沖縄ではとてもポピュラーなお土産だよ」と伝えたところ、その客はちんすこうに興味を示し、買っていった。
商品認知に加え、その価値を伝える難しさは、中国に沖縄産もずくを売り込んだ時も実感していた。
「中国ではもずくを食べる文化がなく、見た目や食感から敬遠されがちでした。ただ、当時の中国は健康志向の高まりがあり、栄養豊富なもずくはニーズに合った食材だったんです。沖縄が『長寿の島』と言われていることも交えて説明し、やっと食べてもらえました」と振り返る。
これらの体験から、古田氏は「情報が届いていないことによる購買の機会損失」に着目する。言語の壁が生む構造的な課題は、沖縄に限らず、日本全国で起きていることだと考えた。そして「海外の人にモノを売るためには、物流と価値流通はセットで取り組まないといけない」という結論にたどり着く。この発想が、Paykeの原点となった。
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