コラム
「11億円を自ら振り込んだ」エンジニア集団の悲劇 はてなを襲った巨額詐欺、IT企業の意外な盲点(4/4 ページ)
東証グロース上場のはてなが発表したニュースは、IT業界のみならず日本の経営層に激震を走らせた。悪意ある第三者からの「虚偽の送金指示」に従い、最大約11億円という巨額の資金を外部口座へ送金してしまったというのだ。これは「あの会社が特別に脇が甘かった話」ではない。どの業種の、どの規模の会社でも起こり得るリスクだ。
「IT部門の問題」で片付けてはいけない
はてなの11億円流出事案は、IT業界への警鐘でもあると同時に、全ての企業への問いかけでもある。
「自社の送金フローに、本当に複数人の目が入っているか」「異常を感知したとき、誰が誰にどう伝えるか、決まっているか」「もし今日、同じことが起きたとして、自分たちは何時間後に対策本部を立ち上げられるか」
リスクが表面化したとき、企業の対応力を支えるのは、結局のところ「コミュニケーションの設計」だと考える。メディア向けの広報という狭い意味ではなく、株主・投資家・従業員・取引先・金融機関・捜査機関――あらゆるステークホルダーとの情報共有の在り方そのものだ。
「IT部門の問題ではない」と言いたいのではない。IT部門だけでは止められない問題だ、と言いたいのだ。テクノロジーと人と組織のあいだに張り巡らせる、コミュニケーションの網。それを今、もう一度点検してほしい。
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