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“やる気の押し付け”が新人を壊す? 五月病が生まれる「構造的な理由」スピン経済の歩き方(4/6 ページ)

約5人に1人は経験したことがあるという「五月病」。管理職はどう対処していけばよいのか。五月病という言葉が生まれたとされる1960年代後半を振り返ってみると……。

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管理職側が最も留意すべきこと

 熾烈(しれつ)な受験戦争を乗り越えた者が「無気力学生」になるように、学生運動を鎮圧されて現実の厳しさを思い知った者が「シラケ世代」になるように、「希望した会社に入って社会人になる」という戦いを終えたフレッシュマンの中に、五月病になる人が現れるのは、ある意味で自然なことなのだ。

 さて、このような五月病の現実を見ると、若者を迎え入れる会社や管理職が最も留意すべき点が見えてくる。

 それは、若者を無力化させる要因となる「強いやる気」や「高い理想」を、できる限り抑えてあげることだ。

 これは管理職経験のある人ならなんとなく思い当たるだろうが、「意欲の高い若手」や「仕事や会社に強い期待を抱いている若手」ほど、早く燃え尽きてしまい、心身の不調に陥りやすい。あの情熱はどこへ行ってしまったのかと思うほど、仕事でミスを連発し、欠勤が増え、気がつけば会社を去っていく――そうしたパターンが多い。


やる気がある若者ほど五月病になりやすい(出典:写真AC)

 これは、先ほどの無気力学生やシラケ世代とまったく同じメカニズムだ。

 「いい大学に入りたい」「この腐った社会を変えたい」という過度に強い自己実現欲求や、身の丈に合わない高い理想を抱くので、現実にぶち当たったとき、その反動で大きなダメージを受け、心身の不調をきたす。低いところから落ちるよりも、高いところから転落したほうがダメージは大きいのと同じだ。

 だから、社会人の先輩としてそういう事態を招かないように、若者を“クールダウン”させてやることが必要だ。例えば、「早く仕事を覚えたいです」「何でもやります」と前のめりで働く新人に対しては、次のようにやんわりと伝える。

 「人には向き・不向きがあるから、自分のペースで覚えていいよ」

 「気持ちはありがたいけど、自分の業務が終わったら、無理せず帰っていいよ」

 若者のやる気を削ぐ対応だと思うかもしれないが、本人の希望どおりに急いで仕事を詰め込んだり、雑務やサポートを任せすぎたりすると、新しい環境で余裕のない心の状態を、さらに追い詰めてしまう。

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