“やる気の押し付け”が新人を壊す? 五月病が生まれる「構造的な理由」:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
約5人に1人は経験したことがあるという「五月病」。管理職はどう対処していけばよいのか。五月病という言葉が生まれたとされる1960年代後半を振り返ってみると……。
管理職ができるのは「環境」整備だけ
スポ根や根性論を好む日本では、どうしても「頑張り」や「やる気」が重視されがちだ。テレビドラマやCMに登場する新入社員が「やる気と希望に満ちあふれ、目を輝かせている若者」というステレオタイプとして描かれていることが、その証左である。
こういう社会の無言の圧力があるので、就職活動に身を投じる若者や会社に入った若者たちも、このステレオタイプを演じる。「私の強みは決してあきらめないところです」とか、「やる気なら誰にも負けません!」などと、心にもないことをアピールしてしまう。「お、今度の新人はガッツがあってよさそうじゃないか」という評価を得るためだ。
そうやって無理をして「やる気のある新人」を演じるのでメンタルがすり減る。しかし、「社会人になるのはそういうことだ」と自分に言い聞かせて、上司や先輩の興味のない話にうなずき、感銘を受けたようなフリをする。もともと存在しない「やる気」の粉飾をひたすら続けていくのだ。
そういう「消耗戦」を続けても平気な人もいれば、そうでない人もいる。後者は無理を重ねた末に、最後にはポキンと心が折れてしまう。それが5人に1人くらいはいるというのが、五月病なのだ。
マネジメント本などには「どうすれば部下を育てられるか」や「部下をやる気にさせる方法」といったノウハウが書かれている。だが、冷静に考えれば、人が他人の心を簡単に操ることなどできるはずがない。
人間がやる気になるのは結局、本人の意思でしかない。デキる管理職がやっているのは、部下の心を操ることでも、厳しく管理・指導をすることでもなく、部下が自発的に仕事に向き合えるような「環境」を整備することだけなのだ。
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