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大阪・関西万博から1年 大屋根リング、顔認証パス、人間洗濯機……話題の“未来技術”はどうなった?(1/2 ページ)

大阪・関西万博で話題になった「大屋根リング」「“世界一の精度”を誇る顔認証」「ミライ人間洗濯機」などは今どうなっているのだろうか。

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 2025年4月中旬に「大阪・関西万博」が開幕した。当初吹き荒れていた賛否両論の嵐は、来場者の口コミを追い風に「万博旋風(せんぷう)」に変わった。184日間で約2902万人が来場し、経済波及効果は約3.6兆円に上るという(2025年日本国際博覧会協会、経済産業省の推計)。

 筆者も足を運び、当時の感動を鮮明に覚えている。入場ゲートを抜けるとミャクミャク像が出迎えてくれた。圧巻のサイズの「大屋根リング」をくぐって、ユニークなパビリオンや異国情緒あふれるイベントを巡る。各国の文化や企業の最新技術を体験できる貴重な機会であり、会場にいた老若男女問わず楽しげな表情を浮かべていたのが印象的だった。

 大屋根リング、人間洗濯機、“世界一の精度”を誇る顔認証などの最新技術、注目を集めたパビリオン――話題になったこれらの“未来技術”は、現在どうなっているのか。

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大屋根リングの上から見下ろした会場の様子(筆者撮影、以下同)

大屋根リング、人間洗濯機、顔認証パス……話題の“未来技術”はどうなった?

 同万博のシンボルとなったのが大屋根リングだ。全周約2025メートルで、最高地点は5階建てビルに相当する。世界最大の木造建築として「ギネス世界記録」に認定された。リング上の遊歩道を歩くと会場を一望でき、回廊の内側から見上げれば整った木組みの構造を眺められた。

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日が落ちてライトアップされた大屋根リング

 経済産業省が主宰する「2025年日本国際博覧会成果検証委員会」(以下、検証委員会)は「会場の一体感を生み出すと同時に、(中略)来場者の移動動線や巨大な日除けとして暑さ対策にもなるなど運営面でも機能を発揮した」と評価する(報告書案、2026年4月付より)。

 建設は、寺社仏閣などに用いられる伝統工法「貫(ぬき)接合」と、現代の建築技法が組み合わせた。建築を手掛けた一社の竹中工務店によると、木造の貫接合で耐震基準を満たすには、 回転剛性(外圧に対する変形しにくさ)の理論値を伝統的な貫接合の5倍に高める必要があったという。同社は実験や分析を行い、金属のくさびなどを用いて「新しい抜き接合」を開発した。

 大屋根リングは、約200メートルが保存されることが決まっている。リング解体後の木材は、石川県珠洲市の震災復興住宅に生まれ変わるほか、鹿島建設や清水建設などの民間企業に譲渡される。

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大屋根リングの建設に貫接合が用いられた

600万回使われた“世界一の精度”の顔認証 進む社会実装

 2025年日本国際博覧会協会が「特別感のある未来体験の提供」とうたったのが、入場管理用の「チケット顔認証システム」だ。入場ゲートのカメラを使い、顔認証によって本人確認を行う。指定期間中に何度も来場できる「通期パス」「夏パス」購入者が対象で、チケットの貸し借りやなりすましの懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがあった。

 顔認証システムを提供したのがNECだ。同社の顔認証技術は米国国立標準技術研究所の性能評価で1位を複数回獲得するなど、“世界一の精度”の称号を持つ。同社によると、顔画像の登録数は70万IDを超え、顔認証による入場は600万回以上だったという。

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入場用の東ゲート

 NECの森田隆之社長兼CEOは「当初の想定よりもはるかに多くの方々に利用されました。(中略)期間中にシステムトラブルが一件も起きなかったことは、当社の技術への信頼を裏付ける大きな成果でした」と語る(参考記事)。

 同社は、顔や虹彩、指紋などを使った生体認証技術を「Bio-IDiom」(バイオイディオム)というブランド内で展開している。2026年4月には「顔認証決済サービス」を東京・麻布台ヒルズの「麻布台ヒルズカフェ」に提供する(参考記事)など、顔認証技術の社会実装を加速させている。

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