「管理職は罰ゲーム」は続くのか? 負担を減らすより効く、意欲を再点火する“意外なスイッチ”(2/3 ページ)
管理職を担いたいと考える人が減っている。仕事や責任が増す一方で、部下の育成やキャリア支援、メンタルケアまで求められ、現場では疲弊も広がる。管理職が意欲を持って働き続けるには何が必要なのか。
「リーダーシップ」と「組織の生産性」の関係は?
こうしてみると管理職業務の変遷は、企業を取り巻く環境の激変や、経営課題がますます多様になってきた様子を如実に映し出している。経済・社会の構造変化が多忙を極める管理職を生んでいるといえる。
ただ、経営環境の変化が激しく不確実性が増しているからこそ、組織のリーダーとしての管理職の機能は以前にもまして重要だ。
日本総合研究所の調査によれば、管理職がリーダーシップを発揮しているほど、職場全体に現状変革の意識や自律的な行動が浸透する傾向がみられる。
同社は2025年11月、全国の管理職(課長級)2000人と従業員5000人を対象にWeb調査を実施した。
管理職については、既存の価値観や思考様式の変革を促すなど、リーダーシップが表れる行動を総合評価して「リーダーシップスコア」(最高評価は5)として算出した。
一方で従業員については、問題解決や人的ネットワーク作り、キャリア開発などに関する行動を「プロアクティブスコア」(同)として数値化するとともに、そうした個人の「プロアクティブ行動」が職場にどれだけ広がっているかを示す「チームプロアクティブスコア」(同)も算出した。
その結果、管理職のリーダーシップスコアが高いほど、その職場のチームプロアクティブスコアも高まることが分かった。リーダーシップスコアが4以上の「高群」職場はチームプロアクティブスコアが3.86となり、2未満の「低群」職場の1.51を大きく引き離した。
管理職のリーダーとしての力量によって組織の生産性が変動することが、データで示された形だ。管理職の役割の重要性が裏付けられたといえる。
管理職にのしかかる過度な負担 改善のポイントは?
企業の持続的成長を考えれば、管理職が経営陣のプレッシャーに負けず、高いモチベーションを持って働ける環境の構築が急務だ。まずは過度な負担を軽減する必要があるだろう。
いま管理職が担っている仕事から、必ずしも管理職がやらなくていい仕事や、ほかの人と分担した方がいい仕事を分けるなど「業務の棚卸し」が求められる。
「部下のキャリア形成支援は(能力開発などの相談に乗る)キャリアコンサルタント資格を持った人事部員らの協力をもっと得てはどうか」。そんな声も人材マネジメントの専門家からは聞かれる。管理職が仕事を抱え込みすぎていないか、点検する余地がある。
部下の力を引き出すことも、管理職の負担軽減につながる。商品企画、販売促進や業務改善などで、組織のメンバーが新しいアイデアや建設的な意見を積極的に出し合うようになれば、管理職にとって大いに助けになる。
部下から活発に提案が出てくるためには、組織が目指す方向をメンバーの間で共有することが前提になる。管理職が組織のビジョンを明確にし、部下の共感を得ることが欠かせない。多様な意見に謙虚に「学ぶ」姿勢も管理職に求められる。部下の信頼をいかに得るかが問われる。
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